2023年天皇賞(秋)(G1)特集
出走予定注目馬
天皇賞(秋)、有馬記念、ドバイシーマクラシック、宝塚記念と国内外、コース形態を問わないGⅠ4連勝を決めた、日本が世界に誇るスーパーホース。大目標であるジャパンカップにお釣りを残した仕上げとはいえ、東京芝2000mの舞台で凡走のシーンは考えられない。
そのイクイノックスに土をつけた2022年日本ダービー馬。今年初戦の京都記念を楽勝し、次走に選んだドバイターフを左前肢跛行で取り消して以来となる久しぶりの一戦だ。王道をゆく秋古馬三冠皆勤ローテの無事完走とともに、同期のライバルとの名勝負数え歌に期待したい。

通算成績【3-4-3-0】と崩れを知らない女傑。牝馬二冠を経ての3戦、内前有利の阪神芝2000mを鬼脚で差し込んできた秋華賞、大阪杯、適性外の1600mでキレ負けたヴィクトリアマイルはいずれも評価を落とす材料にはならない。2強に割って入るポテンシャルの持ち主だろう。
四白流星が彩る栗毛の馬体でハイラップの逃げを打つ現役屈指のグッドルッキングホース。トラックバイアスを生かし切った大阪杯でスターズオンアースにハナ差まで迫られた事実は重いが、パンサラッサのいないメンバー構成なら自らの土俵に持ち込むチャンスはある。
非常に乗り難しいタイプながら爆発力の素点は抜群で、札幌記念の捲り楽勝で改めてGⅠ級の脚力を証明した。ジャックドールの作るペースでは追走力に乏しい点がやや気になるが、上がり32秒台が求められる極限の瞬発力勝負になればこの面々でも引けは取らない。
天皇賞(秋)(G1)出馬表
番 | 馬名 | 性齢 | 重量 | 騎手 |
---|---|---|---|---|
1 | ノースブリッジ | 牡5 | 58 | 岩田康誠 |
2 | エヒト | 牡6 | 58 | 横山和生 |
3 | ドウデュース | 牡4 | 58 | 武豊 |
4 | ダノンベルーガ | 牡4 | 58 | J.モレイラ |
5 | ガイアフォース | 牡4 | 58 | 西村淳也 |
6 | ジャスティンパレス | 牡4 | 58 | 横山武史 |
7 | イクイノックス | 牡4 | 58 | C.ルメール |
8 | ヒシイグアス | 牡7 | 58 | 松山弘平 |
9 | プログノーシス | 牡5 | 58 | 川田将雅 |
10 | ジャックドール | 牡5 | 58 | 藤岡佑介 |
11 | アドマイヤハダル | 牡5 | 58 | 菅原明良 |
前哨戦・重賞結果
2023.09.24 中山11R 芝2200m 15頭 晴 良
オールカマー1着優先出走
2023.10.08 東京11R 芝1800m 12頭 曇 良
毎日王冠1着優先出走
2023.10.09 京都11R 芝2400m 14頭 曇 重
京都大賞典1着優先出走
出走予定馬の「調教後の馬体重」
出走予定馬の「調教後の馬体重」は下記となります。
馬名 | 馬体重 | 計量日 | 計量 場所 | 前走 馬体重 |
---|---|---|---|---|
ノースブリッジ | 507 | 10/26(木) | 美浦 | 500 |
エヒト | 464 | 10/26(木) | 栗東 | 466 |
ドウデュース | 516 | 10/26(木) | 栗東 | 508 |
ダノンベルーガ | 504 | 10/25(水) | 美浦 | 508 |
ガイアフォース | 502 | 10/25(水) | 栗東 | 490 |
ジャスティンパレス | 476 | 10/25(水) | 栗東 | 470 |
イクイノックス | 496 | 10/25(水) | 美浦 | 492 |
ヒシイグアス | 489 | 10/25(水) | 美浦 | 502 |
プログノーシス | 486 | 10/25(水) | 栗東 | 476 |
ジャックドール | 516 | 10/26(木) | 栗東 | 516 |
アドマイヤハダル | 496 | 10/26(木) | 栗東 | 488 |
- 馬体重の数値は「kg」。
- 開催場以外で計量した競走馬については、計量後に開催場へ「輸送」しています。
- 馬体重は、「調教」「輸送」「飼付」「排糞」等により、常に大きく変動します。
- 上記馬体重は、あくまでも計量時のデータであり、レース当日の馬体重とは異なります。
- レース当日に発表する馬体重は、発走時刻の概ね70分前に計量しています。
- 前走が海外の競馬であっても馬体重を計量している場合には、「前走馬体重」を表記しています。
詳細については、JRAのHPをご確認ください。
天皇賞(秋)プレレーティング
馬名 | 2023年度 レーティング 最高値 | 2023年 レーティング該当レース |
---|---|---|
アサマノイタズラ | ||
アドマイヤハダル | 114 M | 毎日王冠4着 |
イクイノックス | 129 L | ドバイシーマ1着 |
エヒト | 112 I | 小倉記念1着 |
ガイアフォース | 117 M | 安田記念4着 |
ジャスティンパレス | 119 L,E | 天皇賞(春)1着 宝塚記念3着 |
ジャックドール | 118 I | 大阪杯1着 |
スターズオンアース | 114 M | ヴィクトリアM3着 |
ダノンベルーガ | 119 M | ドバイターフ2着 |
ドウデュース | 120 L | 京都記念1着 |
ノースブリッジ | 113 L | AJCC1着 |
ヒシイグアス | 115 M | 中山記念1着 |
プログノーシス | 118 I | 札幌記念1着 |
【プレレーティング表の見かた】
(1)レーティングとは、競走馬の能力を示す客観的な指標となるもので、着差・負担重量・過去の勝馬との比較などをもとに、国際的に統一された基準により、数値化したものです。
(2)ここに示すプレレーティング表は、登録各馬が本年度のレースで獲得した最高値(原則として、G1・Jpn1競走は6着まで、その他の重賞・オープン競走は4着までが対象)を掲載しています。
(3)空欄の馬は、上記(2)の基準を満たしていない馬です。
(4)レーティングに付随するアルファベット(SMILE)は、そのレーティングを獲得したレースの競走距離を示すもので、区分は以下のとおりです。
S 【Sprint】 1,000m-1,300m [1,000m-1,599m(CAN/USA)]
M 【Mile】 1,301m-1,899m [1,600m-1,899m(CAN/USA)]
I 【Intermediate】 1,900m-2,100m
L 【Long】 2,101m-2,700m
E 【Extended】 2,701m-
※詳細については、JRAのHPをご確認ください。
天皇賞(秋)(G1)歴代優勝馬
データ分析
脚質
脚質 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
逃げ | 0-1-2-7 | 0.0% | 10.0% | 30.0% |
先行 | 4-4-2-29 | 10.3% | 20.5% | 25.6% |
差し | 6-4-3-51 | 9.4% | 15.6% | 20.3% |
追込 | 0-1-3-40 | 0.0% | 2.3% | 9.1% |
人気
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 6-2-1-1 | 60.0% | 80.0% | 90.0% |
2番人気 | 1-2-2-5 | 10.0% | 30.0% | 50.0% |
3番人気 | 1-1-1-7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
4番人気 | 0-1-1-8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 2-1-0-7 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
6-9番人気 | 0-2-4-34 | 0.0% | 5.0% | 15.0% |
10番人気以下 | 0-1-1-65 | 0.0% | 1.5% | 3.0% |
枠番
枠番 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1枠 | 1-3-0-12 | 6.3% | 25.0% | 25.0% |
2枠 | 1-1-0-16 | 5.6% | 11.1% | 11.1% |
3枠 | 1-0-3-14 | 5.6% | 5.6% | 22.2% |
4枠 | 5-0-1-13 | 26.3% | 26.3% | 31.6% |
5枠 | 1-3-1-15 | 5.0% | 20.0% | 25.0% |
6枠 | 0-1-1-17 | 0.0% | 5.3% | 10.5% |
7枠 | 1-2-2-18 | 4.3% | 13.0% | 21.7% |
8枠 | 0-0-2-22 | 0.0% | 0.0% | 8.3% |
前走着順
前走着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着 | 2-3-3-24 | 6.3% | 15.6% | 25.0% |
2着 | 5-1-2-13 | 23.8% | 28.6% | 38.1% |
3着 | 2-2-2-14 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
4着 | 0-0-1-16 | 0.0% | 0.0% | 5.9% |
5着 | 0-0-2-6 | 0.0% | 0.0% | 25.0% |
6-9着 | 1-2-0-35 | 2.6% | 7.9% | 7.9% |
10着以下 | 0-2-0-19 | 0.0% | 9.5% | 9.5% |
ステップレース
レース | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
安田記念 | 2-2-1-3 | 25.0% | 50.0% | 62.5% |
宝塚記念 | 1-3-2-12 | 5.6% | 22.2% | 33.3% |
札幌記念 | 1-2-0-16 | 5.3% | 15.8% | 15.8% |
オールカマー | 1-0-0-18 | 5.3% | 5.3% | 5.3% |
京都大賞典 | 1-0-0-14 | 6.7% | 6.7% | 6.7% |
毎日王冠 | 2-1-5-35 | 4.7% | 7.0% | 18.6% |
その他 | 2-2-2-29 | 5.7% | 11.4% | 17.1% |
年齢
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3歳馬 | 2-0-2-8 | 16.7% | 16.7% | 33.3% |
4歳馬 | 3-6-4-30 | 7.0% | 20.9% | 30.2% |
5歳馬 | 5-4-3-38 | 10.0% | 18.0% | 24.0% |
6歳馬 | 0-0-1-29 | 0.0% | 0.0% | 3.3% |
7歳上 | 0-0-0-22 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
所属
所属 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
関東馬 | 7-2-5-42 | 12.5% | 16.1% | 25.0% |
関西馬 | 3-8-5-85 | 3.0% | 10.9% | 15.8% |
性別
性別 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
牡馬・セン馬 | 8-8-7-117 | 5.7% | 11.4% | 16.4% |
牝馬 | 2-2-3-10 | 11.8% | 23.5% | 41.2% |
騎手
順位 | 騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ルメール | 4-0-2-3 | 44.4% | 44.4% | 66.7% |
2 | 福永祐一 | 1-2-0-6 | 11.1% | 33.3% | 33.3% |
3 | 武豊 | 1-0-0-7 | 12.5% | 12.5% | 12.5% |
4 | 北村宏司 | 1-0-0-2 | 33.3% | 33.3% | 33.3% |
5 | 浜中俊 | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
6 | 横山武史 | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
6 | ムーア | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
8 | M.デムーロ | 0-2-1-5 | 0.0% | 25.0% | 37.5% |
9 | 戸崎圭太 | 0-2-1-4 | 0.0% | 28.6% | 42.9% |
10 | 川田将雅 | 0-1-3-5 | 0.0% | 11.1% | 44.4% |
調教師
順位 | 調教師 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 藤沢和雄 | 2-0-1-8 | 18.2% | 18.2% | 27.3% |
2 | 国枝栄 | 2-0-0-1 | 66.7% | 66.7% | 66.7% |
3 | 堀宣行 | 1-1-1-6 | 11.1% | 22.2% | 33.3% |
4 | 池江泰寿 | 1-0-0-13 | 7.1% | 7.1% | 7.1% |
5 | 須貝尚介 | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
5 | 清水久詞 | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
5 | 木村哲也 | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
8 | 鹿戸雄一 | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
9 | 矢作芳人 | 0-3-0-3 | 0.0% | 50.0% | 50.0% |
10 | 石坂正 | 0-2-0-0 | 0.0% | 100.0% | 100.0% |
馬主
順位 | 馬主 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | シルクR | 3-0-0-2 | 60.0% | 60.0% | 60.0% |
2 | キャロット | 2-1-1-10 | 14.3% | 21.4% | 28.6% |
3 | 金子真人HD | 1-0-0-13 | 7.1% | 7.1% | 7.1% |
4 | 山本英俊 | 1-0-0-4 | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
5 | 吉田和美 | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
6 | 大和屋暁 | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
6 | 大野商事 | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
8 | サンデーR | 0-4-3-7 | 0.0% | 28.6% | 50.0% |
9 | ダノックス | 0-1-1-3 | 0.0% | 20.0% | 40.0% |
10 | 前田晋二 | 0-1-0-4 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
生産者
順位 | 生産者 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ノーザンF | 6-6-6-45 | 9.5% | 19.0% | 28.6% |
2 | 社台C白老F | 1-0-2-6 | 11.1% | 11.1% | 33.3% |
3 | 社台F | 1-0-1-15 | 5.9% | 5.9% | 11.8% |
4 | ヤナガワ牧場 | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
4 | 戸川牧場 | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
6 | ノースヒルズ | 0-1-0-4 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
7 | ケイアイF | 0-1-0-3 | 0.0% | 25.0% | 25.0% |
8 | 追分F | 0-1-0-2 | 0.0% | 33.3% | 33.3% |
9 | 木村秀則 | 0-1-0-0 | 0.0% | 100.0% | 100.0% |
10 | 下河辺牧場 | 0-0-1-3 | 0.0% | 0.0% | 25.0% |
種牡馬
順位 | 種牡馬 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ロードカナロア | 2-1-0-3 | 33.3% | 50.0% | 50.0% |
2 | キングカメハメハ | 2-0-0-15 | 11.8% | 11.8% | 11.8% |
3 | ディープインパクト | 1-8-2-44 | 1.8% | 16.4% | 20.0% |
4 | ハーツクライ | 1-0-1-7 | 11.1% | 11.1% | 22.2% |
5 | スクリーンヒーロー | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
5 | エピファネイア | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
5 | ブラックタイド | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
5 | キタサンブラック | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
9 | Marju | 0-1-0-2 | 0.0% | 33.3% | 33.3% |
10 | フジキセキ | 0-0-2-0 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
※過去10年の天皇賞(秋)集計
レースガイド
■歴史と伝統を誇る古馬の国内最高峰レース
1905年(明治38年)5月6日に創設された「エンペラーズカップ」(横浜・日本レースクラブ)を前身とする。翌1906年からは東京、阪神、福島、札幌、函館、小倉の各競馬倶楽部で「帝室御賞典競走」の名称で施行されていた。1936年(昭和11年)に「日本競馬会」(JRAの前身)が創設され、翌1937年にそれぞれの競馬倶楽部が「日本競馬会」へ統合されたことにより年2回(春・阪神、秋・東京)の開催となった。なお同年12月3日の「第1回帝室御賞典競走」(東京・芝2600m)から施行回数が起算されている。
距離・出走条件に関しては、1938年の第2回(春)に芝2700m(3歳以上)に変更されて、第3回(秋)から芝3200m(4歳以上)となり、1944年に(春)の競走が京都競馬場へ変更となった。以後、長年この条件で施行されてきたが、1984年の番組改編に伴い(秋)の施行距離が2000mに短縮、更に1987年からは3歳以上に変更された。これにより、(春)は古馬による長距離No.1決定戦、(秋)は3歳以上馬の中距離No.1決定戦とする現在の体系が確立された。
レース名に関しては、第二次世界大戦の影響により中止となった1944年(秋)~46年(秋)の翌年(春)に「平和賞」に変更されて再開し、同年(秋)から現在の名称である「天皇賞」に改名された。なお、(春)は1957~89年の間、昭和天皇誕生日(4月29日)にて施行されており、レースの格があまりに偉大であることから、優勝馬はその名を汚さないように、以後の出走が制限されていた(いわゆる勝ち抜き制、1981年廃止)。
天皇賞(秋)の距離が短縮された1984年にグレード制導入によりG1に格付けされた後、1995年には地方所属馬が出走可能に。クラシック競走同様に優秀な繁殖馬の選定レースの意味合いが強かった為、内国産の牡馬・牝馬にしか出走資格が与えられなかったが、競馬の国際化に伴い、2000年からは外国産馬の出走が可能となり、2005年には国際G1競走に認定された。なお、国際競走として広く外国馬を受け入れる意味でも2008年からセン馬の出走も可能となっている。
また、「エンペラーズカップ」や「帝室御賞典競走」の名からもわかるとおり、当時の明治天皇より御賞典(菊花御紋付銀製花盛器)が下賜されてきた。しかし戦時中の貴金属不足により、以後1941年からは菊花御紋入りの木製楯に変更された。天皇賞を通称「盾」と呼ぶのはこの天皇盾に由来しており、春・秋合計で11勝を誇る武豊騎手が「平成の盾男」と呼ばれるのもこの為である。
京都の3200mで争われるステイヤー決定戦の天皇賞(春)に対し、上述の通り天皇賞(秋)は中距離の東京2000mにて行われる。しかし、この東京の2000mはスタート直後に第2コーナーを向かえ、外枠不利のコースと言われておりこれまでに物議を醸してきた。「競馬の神様」と呼ばれた大川慶次郎氏は「大レースは枠順による有利不利が起こらない条件で行うべき。2000メートルで施行するなら中山競馬場にすべきだ。」との発言を残している。それを示すかのように1991年第104回では、外枠発走だった圧倒的1番人気のメジロマックイーンがスタート直後に内側に斜行し、結果1位入線も18着に降着した。これは日本競馬史上、初の重賞1着馬の降着であり当時の大きな話題となったことは有名である。なお、2003年の東京競馬場コース改修によりスタート直後のカーブが緩やかになり、影響は少なくなったと言われている。
そのような中、この舞台で誕生した名馬やエピソードも多い。皇帝シンボリルドルフを差し切った後の安田記念馬ギャロップダイナ、「白い稲妻」タマモクロス、女帝エアグルーヴ、獲得賞金王テイエムオペラオー、連覇を果たしたシンボリクリスエス、ダービー馬ウオッカなど、過去には数々の時の名馬が名を連ねる。また、1998年第118回で悲運の最後を遂げた逃亡者サイレンススズカは、強烈にファンの心に残っているだろう。