2023年菊花賞(G1)特集

京都11R/芝3000m/(国際) 牡・牝 (指)
2022菊花賞_アスクビクターモア

出走予定注目馬

牡3 美浦・堀宣行 厩舎
タスティエーラ

2023年クラシック世代の頂点に立ったサトノクラウン産駒。最後の一冠で求められる機動力と持久力に富んだタイプとあって3000mへの延長をマイナスにとらえる必要はないだろう。ダービーからの直行という異例の臨戦過程で、こちらも珍しいダービー・菊の二冠を目指す。

牡3 美浦・手塚貴久 厩舎舎
ソールオリエンス

渋馬場を大外一気で制した皐月賞馬。ダービーでは上がり差の出ない競馬となりタスティエーラの後塵を拝したものの、セントライト記念の内容からも世代最上位クラスの地力は折り紙付き。積んでいるトップクラスのエンジンをどう生かすか、ジョッキーの手腕が問われる。

神戸新聞杯では鞍上の鮮やかなイン突きに応え、最後の数完歩で前を捉え切って2つ目のタイトルを獲得。祖父ディープインパクト、父サトノダイヤモンドに続く同一重賞三代制覇を決めた。菊花賞では同一G1三代制覇の大偉業がかかっており、父の名を高める走りに期待したい。

共同通信杯でのちのダービー馬タスティエーラを下した皐月賞3着馬。神戸新聞杯では武豊騎手が逃げの手を選択し3着、レコードタイムで駆け抜けた勝ち馬から0秒1差だった。淀のスペシャリストである鞍上がどのようなプランを組むか、レース全体を占う注目ポイントとなる。

牡3 栗東・昆貢 厩舎
トップナイフ

名伯楽・昆貢調教師が送り出す西の個性派。操縦性と先行力を武器に2歳秋から重賞で3戦連続2着に食い込み、春二冠は結果を残せなかったものの豪華メンバーの札幌記念ではプログノーシスの2着に健闘した。距離適性は未知数だが、メンバー随一のキャリアで長丁場を乗り切りたいところ。

その他スタミナ比べで浮上しそうなのはリビアングラス。ディープボンドを彷彿とさせるしぶとい末脚からも不気味な存在だ。神戸新聞杯で2着好走のサヴォーナ、ダービー3着馬ハーツコンチェルトもエントリーを予定しており、クラシック最終戦にふさわしい好メンバーが揃った。

菊花賞(G1)出馬表

馬名性齢重量騎手
1トップナイフ牡357横山典弘
2ウインオーディン牡357三浦皇成
3シーズンリッチ牡357角田大河
4ダノントルネード牡357西村淳也
5パクスオトマニカ牡357田辺裕信
6リビアングラス牡357坂井瑠星
7タスティエーラ牡357J.モレイラ
8サヴォーナ牡357池添謙一
9ノッキングポイント牡357北村宏司
10マイネルラウレア牡357岩田望来
11サトノグランツ牡357川田将雅
12ハーツコンチェルト牡357松山弘平
13ナイトインロンドン牡357和田竜二
14ソールオリエンス牡357横山武史
15ファントムシーフ牡357武豊
16ショウナンバシット牡357M.デムーロ
17ドゥレッツァ牡357C.ルメール

トライアル他結果

2023.05.28 東京11R 芝2400m 18頭 晴 良
日本ダービー

1着 タスティエーラ (4人気)
2着 ソールオリエンス (1人気)
3着 ハーツコンチェルト (6人気)
2023日本ダービー_タスティエーラ

2023.09.18 中山11R 芝2200m 15頭 晴 良
セントライト記念3着以内優先出走

1着 レーベンスティール (2人気)
2着 ソールオリエンス (1人気)
3着 シャザーン (3人気)
2023セントライト記念_レーベンスティール

2023.09.24 阪神11R 芝2400m 13頭 晴 良
神戸新聞杯3着以内優先出走

1着 サトノグランツ (3人気)
2着 サヴォーナ (10人気)
3着 ファントムシーフ (2人気)
2023神戸新聞杯_サトノグランツ

出走予定馬の「調教後の馬体重」

出走予定馬の「調教後の馬体重」は下記となります。

馬名馬体重計量日計量
場所
前走
馬体重
トップナイフ49010/18(水)栗東482
ウインオーディン47910/18(水)美浦482
シーズンリッチ49410/19(木)栗東498
ダノントルネード51810/19(木)栗東514
パクスオトマニカ48210/19(木)美浦478
リビアングラス50610/18(水)栗東500
タスティエーラ48610/18(水)美浦478
サヴォーナ54810/19(木)栗東528
ノッキングポイント49410/18(水)美浦494
マイネルラウレア51410/19(木)栗東496
サトノグランツ50610/19(木)栗東492
ハーツコンチェルト50810/18(水)栗東492
ナイトインロンドン48610/18(水)美浦482
ソールオリエンス46810/19(木)美浦460
ファントムシーフ50010/18(水)栗東502
ショウナンバシット49610/19(木)栗東486
ドゥレッツァ47210/19(木)美浦456
  • 馬体重の数値は「kg」。
  • 開催場以外で計量した競走馬については、計量後に開催場へ「輸送」しています。
  • 馬体重は、「調教」「輸送」「飼付」「排糞」等により、常に大きく変動します。
  • 上記馬体重は、あくまでも計量時のデータであり、レース当日の馬体重とは異なります。
  • レース当日に発表する馬体重は、発走時刻の概ね70分前に計量しています。
  • 前走が海外の競馬であっても馬体重を計量している場合には、「前走馬体重」を表記しています。

詳細については、JRAのHPをご確認ください。

菊花賞プレレーティング

馬名2023年度
レーティング
最高値
2023年
レーティング該当レース
ウインオーディン
サヴォーナ113 L神戸新聞杯2着
サトノグランツ114 L神戸新聞杯1着
ショウナンバシット113 I皐月賞5着
シーズンリッチ110 M毎日杯1着
ソールオリエンス120 I皐月賞1着
タスティエーラ119 L東京優駿1着
ダノントルネード108 L京都新聞杯2着
ドゥレッツァ
トップナイフ111 Iディープ記念2着
札幌記念2着
ナイトインロンドン
ノッキングポイント116 L東京優駿5着
パクスオトマニカ107 IプリンシパルS1着
ハーツコンチェルト118 L東京優駿3着
ファントムシーフ114 M,I共同通信杯1着
皐月賞3着
マイネルラウレア108 I若駒S1着
リビアングラス108 L京都新聞杯3着

【プレレーティング表の見かた】
(1)レーティングとは、競走馬の能力を示す客観的な指標となるもので、着差・負担重量・過去の勝馬との比較などをもとに、国際的に統一された基準により、数値化したものです。
(2)ここに示すプレレーティング表は、登録各馬が本年度のレースで獲得した最高値(原則として、G1・Jpn1競走は6着まで、その他の重賞・オープン競走は4着までが対象)を掲載しています。
(3)空欄の馬は、上記(2)の基準を満たしていない馬です。
(4)レーティングに付随するアルファベット(SMILE)は、そのレーティングを獲得したレースの競走距離を示すもので、区分は以下のとおりです。
S 【Sprint】 1,000m-1,300m [1,000m-1,599m(CAN/USA)]
M 【Mile】 1,301m-1,899m [1,600m-1,899m(CAN/USA)]
I 【Intermediate】 1,900m-2,100m
L 【Long】 2,101m-2,700m
E 【Extended】 2,701m-
※詳細については、JRAのHPをご確認ください。

菊花賞(G1)歴代優勝馬

2022.10.23 阪神11R 芝3000m 18頭 晴 良
菊花賞

アスクビクターモア
単勝 4.1倍 (2人気)
R3:02.4 (36.9)
田辺裕信騎手
牡3 美浦・田村康仁厩舎
2022菊花賞_アスクビクターモア

2021.10.24 阪神11R 芝3000m 18頭 曇 良
菊花賞

タイトルホルダー
単勝 8.0倍 (4人気)
3:04.6 (35.1)
横山武史騎手
牡3 美浦・栗田徹厩舎
2021菊花賞_タイトルホルダー

2020.10.25 京都11R 芝3000m 18頭 晴 良
菊花賞

コントレイル
単勝 1.1倍 (1人気)
3:05.5 (35.2)
福永祐一騎手
牡3 栗東・矢作芳人厩舎
2020菊花賞_コントレイル

2019.10.20 京都11R 芝3000m 18頭 晴 良
菊花賞

ワールドプレミア
単勝 6.5倍 (3人気)
3:06.0 (35.8)
武豊騎手
牡3 栗東・友道康夫厩舎
2019菊花賞_ワールドプレミア

2018.10.21 京都11R 芝3000m 18頭 晴 良
菊花賞

フィエールマン
単勝 14.5倍 (7人気)
3:06.1 (33.9)
C.ルメール騎手
牡3 美浦・手塚貴久厩舎
2018菊花賞_フィエールマン

データ分析

脚質

脚質成績勝率連対率3着内率
逃げ1-0-1-108.3%8.3%16.7%
先行4-5-4-328.9%20.0%28.9%
差し5-5-4-606.8%13.5%18.9%
追込0-0-1-480.0%0.0%2.0%

人気

人気成績勝率連対率3着内率
1番人気4-0-2-440.0%40.0%60.0%
2番人気1-2-0-710.0%30.0%30.0%
3番人気2-1-1-620.0%30.0%40.0%
4番人気1-2-1-610.0%30.0%40.0%
5番人気1-1-1-710.0%20.0%30.0%
6-9番人気1-3-3-332.5%10.0%17.5%
10番人気以下0-1-2-870.0%1.1%3.3%

枠番

枠番成績勝率連対率3着内率
1枠1-0-0-195.0%5.0%5.0%
2枠5-3-0-1225.0%40.0%40.0%
3枠1-0-0-195.0%5.0%5.0%
4枠0-0-1-190.0%0.0%5.0%
5枠0-2-3-150.0%10.0%25.0%
6枠1-2-1-165.0%15.0%20.0%
7枠2-2-3-236.7%13.3%23.3%
8枠0-1-2-270.0%3.3%10.0%

前走着順

前走着順成績勝率連対率3着内率
1着4-1-7-466.9%8.6%20.7%
2着3-4-2-1413.0%30.4%39.1%
3着2-4-0-159.5%28.6%28.6%
4着0-0-0-110.0%0.0%0.0%
5着0-0-1-140.0%0.0%6.7%
6-9着0-1-0-310.0%3.1%3.1%
10着以下1-0-0-195.0%5.0%5.0%

ステップレース

レース成績勝率連対率3着内率
阿賀野川特別0-0-2-20.0%0.0%50.0%
セントライト記念3-3-1-436.0%12.0%14.0%
神戸新聞杯6-5-4-519.1%16.7%22.7%
兵庫特別0-0-1-30.0%0.0%25.0%
その他1-2-2-511.8%5.4%8.9%

所属

所属成績勝率連対率3着内率
関東馬3-1-2-455.9%7.8%11.8%
関西馬7-9-8-1055.4%12.4%18.6%

騎手

順位騎手成績勝率連対率3着内率
1福永祐一2-3-1-420.0%50.0%60.0%
2ルメール2-2-1-228.6%57.1%71.4%
3M.デムーロ1-1-0-514.3%28.6%28.6%
4武豊1-0-2-611.1%11.1%33.3%
5田辺裕信1-0-0-614.3%14.3%14.3%
6北村宏司1-0-0-325.0%25.0%25.0%
7酒井学1-0-0-233.3%33.3%33.3%
8横山武史1-0-0-150.0%50.0%50.0%
9吉田隼人0-1-1-10.0%33.3%66.7%
10岩田康誠0-1-0-80.0%11.1%11.1%

調教師

順位調教師成績勝率連対率3着内率
1角居勝彦2-0-0-250.0%50.0%50.0%
2池江泰寿1-2-0-117.1%21.4%21.4%
3友道康夫1-1-2-88.3%16.7%33.3%
4矢作芳人1-1-1-414.3%28.6%42.9%
5手塚貴久1-0-0-150.0%50.0%50.0%
5田村康仁1-0-0-150.0%50.0%50.0%
5谷潔1-0-0-150.0%50.0%50.0%
8清水久詞1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
8栗田徹1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
10宮本博0-2-0-20.0%50.0%50.0%

馬主

順位馬主成績勝率連対率3着内率
1キャロット1-1-1-611.1%22.2%33.3%
2サンデーR1-1-0-99.1%18.2%18.2%
3里見治1-1-0-514.3%28.6%28.6%
4前田晋二1-0-0-150.0%50.0%50.0%
4廣崎利洋HD1-0-0-150.0%50.0%50.0%
6東豊物産1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
6石川達絵1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
6大野商事1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
6山田弘1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
6大塚亮一1-0-0-0100.0%100.0%100.0%

生産者

順位生産者成績勝率連対率3着内率
1ノーザンF4-6-7-515.9%14.7%25.0%
2社台F1-2-1-155.3%15.8%21.1%
3ノースヒルズ1-0-0-233.3%33.3%33.3%
3岡田スタツド1-0-0-233.3%33.3%33.3%
3下河辺牧場1-0-0-233.3%33.3%33.3%
6ヤナガワ牧場1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
6竹島幸治1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
8メジロ牧場0-1-0-00.0%100.0%100.0%
8平山牧場0-1-0-00.0%100.0%100.0%
10Kildaragh Stud0-0-1-00.0%0.0%100.0%
10北勝F0-0-1-00.0%0.0%100.0%

種牡馬

順位種牡馬成績勝率連対率3着内率
1ディープインパクト5-3-3-2215.2%24.2%33.3%
2ルーラーシップ1-0-0-614.3%14.3%14.3%
3ブラックタイド1-0-0-516.7%16.7%16.7%
4シンボリクリスエス1-0-0-325.0%25.0%25.0%
4ドゥラメンテ1-0-0-325.0%25.0%25.0%
6スペシャルウィーク1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
7エピファネイア0-2-1-20.0%40.0%60.0%
8ステイゴールド0-2-0-110.0%15.4%15.4%
9スクリーンヒーロー0-1-1-20.0%25.0%50.0%
10ネオユニヴァース0-1-0-30.0%25.0%25.0%

※過去10年の皐月賞集計

レースガイド

■全馬が未知の長距離レース!三冠最終戦!

繁殖馬選定レースとしての意味合いを持つイギリスのクラシック競走の中で、3歳牡馬・牝馬限定戦のセントレジャーステークス(ドンカスター・1マイル6ハロン132ヤード)を模範として1938年に「京都農林省賞典四歳呼馬」(京都・芝3000m)の名で創設された。1932年創設「東京優駿大競走(現在の日本ダービー)」と1939年創設「横浜農林省賞典四歳呼馬(現在の皐月賞)」と併せて日本のクラシック三冠が形成された。1948年第9回より名称を現在の「菊花賞」に変更。その後、1979年の京都競馬場のスタンド改修により阪神で開催された第40回を除き、全て京都の芝3000mで施行されている伝統の3歳長距離レースである。

1984年グレード制施行によりG1に格付、1995年に指定交流競走となり地方馬が出走可能に。2001年からは外国産馬の出走が可能となり、2010年には国際G1競走に認定され、ダービー・皐月賞と同様に外国産馬・海外調教馬をあわせて最大9頭まで出走可能となった。京都競馬場特有の2度の坂越えがある3000mを制するには、豊富なスタミナと併せてスピードも必須な為、三冠レースの格言では「最も強い馬が勝つ」との集大成を表す言葉が用いられる。なお、以前は本競走の前に3歳以上の嵐山ステークスという3000mのレースがあったが、現在は本競走の前に同距離のレースはなく、出走する全馬にとってまさに未知の距離を走ることとなる。

世界競馬の主流がミドルディスタンスに移行する中で、本競走は天皇賞(春)や阪神大賞典と並ぶ人気を誇る長距離レースの側面を持つと言える。春のクラシックシーズンを賑わした実績組と夏場から急成長を遂げた新興勢力が対戦する構図もその要因かもしれない。また本競走を制した馬には、天皇賞(春)を連覇した名ステイヤー・メジロマックイーン、最強の兄弟と言われるビワハヤヒデ・ナリタブライアン、変幻自在の脚質で賑わせたマヤノトップガン、もはや説明のいらない英雄ディープインパクトなどがいる。これからの時代を築く歴史的名馬が生まれる瞬間に立ち会えるのも本競走の魅力だろう。

どの馬にとってもの淀の3000mは未知の経験となるだけに、3分の間トップジョッキー達が繰り広げる駆け引きもまた見どころの一つである。俗に淀の坂は「じっくり登り」「じっくり下る」がセオリーと言われるが、それがG1の舞台で2度もあるだから一筋縄ではいかないのも事実。世代最後のクラシックホースの誕生の瞬間を腰を据えて「じっくり」と見守りたい。