ニュース詳細
ニュース一覧
日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」は栗東取材班の田村達人(33)が担当。今週、サマーマイルシリーズ開幕戦「第2回しらさぎS」に担当馬ミニトランザットを送り込む山口育生厩務員(62)は先月16日の鞍馬Sで競走中止、予後不良となった姉イフェイオンも手がけていた。悲しみを乗り越え、前を向かねばならない。今の心境を明かした。
亡き姉の思いを背負った一戦。今週日曜の阪神11R・しらさぎSに担当馬ミニトランザットを送り込む山口厩務員は50年近くのキャリアを積んできた。自分でも甘やかし過ぎと認める正真正銘の馬ファースト。「この接し方が正解なのかは分からないけど、馬をかわいがるのが俺の良さ」と強い信念を持ち、馬づくりに励んでいる。
先月16日の鞍馬Sで悲しい事故が起きた。ミニトランザットと同じく担当していた1歳上の全姉イフェイオンが4角で転倒、競走中止。右第1指関節開放性脱臼で予後不良となった。「あの日のことは記憶から消したい。本当につらかった」と振り返る。
ゲート裏から戻るバスの中で事故を知ったため、その瞬間を直接は見ていない。バスを降り、急いで愛馬の近くに駆け寄ったが、苦しんでいる姿や声を聞いて足が止まった。「ツンデレの女の子。今まできつく当たられたこともあったけど、仲良しだったから。何かあると、いつも俺を頼る。痛がっているところに寄り添って俺が騒いだりしたら、より助けを求めてくる。それはお互いにとって、つらいと思ったから」と言葉を詰まらせながら、思いを明かした。
24年フェアリーSで初タイトルを獲得。山口厩務員にとっても、約30年ぶりの重賞制覇だった。「牝馬なので将来、厩舎の中心となる可能性があった血統。無事に繁殖に上げられなかったのが残念。子が見たかった」。芦毛のルックスもあり、多くのファンに愛された。「改めてイフェイオンを応援してくださったファンの方々には感謝しかないです」と頭を下げる。
今年で63歳。今月いっぱいで職場を離れることも頭にあったが、「責任もあるので、もうひと踏ん張り、頑張ろう」と予定を変更。弟ミニトランザットと重賞に挑む。「オンとオフの切り替えが姉に似てる」と比較した上で、「放牧から帰ってくるたびに成長している。幼さが抜けて、過去イチの体。無事に戻ってくるのが一番大事だけど、ここで結果を出すと秋が楽しみ」と期待を込めた。前走ダービー卿CTは0秒1差4着。もう少しでタイトルに届く。天国で見守っている姉が、そっと背中を押してくれると信じて競馬に臨む。
◇山口 育生(やまぐち・いくお)1963年(昭38)9月2日生まれ、札幌市出身の62歳。最初に所属した栗東・大久保石松厩舎で83年京都記念・秋や84年日経新春杯などを制したエリモローラを担当。21年に湯窪幸雄厩舎の解散に伴い、新規開業の杉山佳明厩舎に移った。現在はミニトランザットの他にブルーマッキンジー(3歳1勝クラス)、スターフュージョン(同)を担当している。
◇田村 達人(たむら・たつと)1992年(平4)11月12日生まれ、大阪市城東区出身の33歳。高校卒業後は北海道新ひだか町のケイアイファームで育成&生産に携わった。
亡き姉の思いを背負った一戦。今週日曜の阪神11R・しらさぎSに担当馬ミニトランザットを送り込む山口厩務員は50年近くのキャリアを積んできた。自分でも甘やかし過ぎと認める正真正銘の馬ファースト。「この接し方が正解なのかは分からないけど、馬をかわいがるのが俺の良さ」と強い信念を持ち、馬づくりに励んでいる。
先月16日の鞍馬Sで悲しい事故が起きた。ミニトランザットと同じく担当していた1歳上の全姉イフェイオンが4角で転倒、競走中止。右第1指関節開放性脱臼で予後不良となった。「あの日のことは記憶から消したい。本当につらかった」と振り返る。
ゲート裏から戻るバスの中で事故を知ったため、その瞬間を直接は見ていない。バスを降り、急いで愛馬の近くに駆け寄ったが、苦しんでいる姿や声を聞いて足が止まった。「ツンデレの女の子。今まできつく当たられたこともあったけど、仲良しだったから。何かあると、いつも俺を頼る。痛がっているところに寄り添って俺が騒いだりしたら、より助けを求めてくる。それはお互いにとって、つらいと思ったから」と言葉を詰まらせながら、思いを明かした。
24年フェアリーSで初タイトルを獲得。山口厩務員にとっても、約30年ぶりの重賞制覇だった。「牝馬なので将来、厩舎の中心となる可能性があった血統。無事に繁殖に上げられなかったのが残念。子が見たかった」。芦毛のルックスもあり、多くのファンに愛された。「改めてイフェイオンを応援してくださったファンの方々には感謝しかないです」と頭を下げる。
今年で63歳。今月いっぱいで職場を離れることも頭にあったが、「責任もあるので、もうひと踏ん張り、頑張ろう」と予定を変更。弟ミニトランザットと重賞に挑む。「オンとオフの切り替えが姉に似てる」と比較した上で、「放牧から帰ってくるたびに成長している。幼さが抜けて、過去イチの体。無事に戻ってくるのが一番大事だけど、ここで結果を出すと秋が楽しみ」と期待を込めた。前走ダービー卿CTは0秒1差4着。もう少しでタイトルに届く。天国で見守っている姉が、そっと背中を押してくれると信じて競馬に臨む。
◇山口 育生(やまぐち・いくお)1963年(昭38)9月2日生まれ、札幌市出身の62歳。最初に所属した栗東・大久保石松厩舎で83年京都記念・秋や84年日経新春杯などを制したエリモローラを担当。21年に湯窪幸雄厩舎の解散に伴い、新規開業の杉山佳明厩舎に移った。現在はミニトランザットの他にブルーマッキンジー(3歳1勝クラス)、スターフュージョン(同)を担当している。
◇田村 達人(たむら・たつと)1992年(平4)11月12日生まれ、大阪市城東区出身の33歳。高校卒業後は北海道新ひだか町のケイアイファームで育成&生産に携わった。
(C)スポーツニッポン