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「ノリ(横山典弘騎手)って凄え」。ファンが横山典をこのように認識し始めたのは、このレースあたりからではなかったか。
もちろん、その前にもトロットサンダー、サクラローレルなどとのコンビでG1を勝ってはいた。だが、それらのG1制覇は“まず馬が強い”という大前提があったように思う。
この皐月賞は違った。セイウンスカイが強くないという意味では決してないが“横山典の腕で勝った”という印象が強く残った。それだけ巧みでパーフェクトな騎乗だった。
この皐月賞がテン乗り(初騎乗)だった。それまでの3戦は徳吉孝士(引退)を背に逃げの手を打ってきた。自分はどう乗るか…。馬の特徴、性格をつかむため、追い切りへの騎乗を志願し、4度目の騎乗となった雨中の最終追いで完全につかんだ。
「長所はスピード。ただ、単なる逃げ馬ではない。うまくためることができれば鋭い末脚も使えるタイプ」
記者会見で早速、質問が飛んだ。「やっぱり逃げるんですか?」。とっさに答えた。「ゲートを出てみなければ分からない」。けむに巻いたわけではなかった。“逃げてもいいけど逃げなくても大丈夫なんだよ”。心からの本音だった。
ゲートが開いた。隣の2番枠からコウエイテンカイチが押して出て行く。外から福永祐一・キングヘイローも来ていたが、3番人気のこの馬を制して2番手を確保した。ここが最大のポイントだった。2番手キングヘイロー、3番手セイウンスカイなら結果はどうなっていたか。
2番手に収まったセイウンスカイはコウエイテンカイチから2馬身差をキープして追走した。コウエイテンカイチを刺激してペースが上がりすぎてもよくない。それでいて、勝負どころで柔軟に対応できる2番手の外。理想の位置取りでセイウンスカイとの呼吸を合わせ、4角を迎えた。
絶好の手応えで残り400メートル。背後のキングヘイロー、中団外のスペシャルウィークの気配を感じ取ると、横山典はセイウンスカイを先頭へとリードした。
すかさず左ムチ、そして右ムチ。キングヘイローは差を詰められない。坂を上がって残り50メートル。脚が上がり始めたセイウンスカイ。キングヘイローが詰めてきた。スペシャルウィークも来た。しかし、半馬身差、セイウンスカイがゴールへと粘り込んだ。横山典の左腕が派手に上がった。
「初クラシックか。実感は湧かないね」。記者会見は横山典の笑顔で始まった。「他の馬は視界に入らなかった。折り合いをつける。そのことだけを心がけた」
ゲート入りを嫌がり、大歓声を前に何度も心を乱しかけた相棒をひたすらなだめて走り切った2000メートル。「精神面で課題は残っている。だが、それだけ楽しみがあるということだよ」
セイウンスカイはダービーこそ4着に敗れたが、秋は菊花賞を逃げ切って、この世代の2冠を獲得した。玄人好みする騎乗が持ち味であることを世に知らしめた横山典は、今も同じイメージをキープしたまま、競馬の最前線で戦い続けている。
もちろん、その前にもトロットサンダー、サクラローレルなどとのコンビでG1を勝ってはいた。だが、それらのG1制覇は“まず馬が強い”という大前提があったように思う。
この皐月賞は違った。セイウンスカイが強くないという意味では決してないが“横山典の腕で勝った”という印象が強く残った。それだけ巧みでパーフェクトな騎乗だった。
この皐月賞がテン乗り(初騎乗)だった。それまでの3戦は徳吉孝士(引退)を背に逃げの手を打ってきた。自分はどう乗るか…。馬の特徴、性格をつかむため、追い切りへの騎乗を志願し、4度目の騎乗となった雨中の最終追いで完全につかんだ。
「長所はスピード。ただ、単なる逃げ馬ではない。うまくためることができれば鋭い末脚も使えるタイプ」
記者会見で早速、質問が飛んだ。「やっぱり逃げるんですか?」。とっさに答えた。「ゲートを出てみなければ分からない」。けむに巻いたわけではなかった。“逃げてもいいけど逃げなくても大丈夫なんだよ”。心からの本音だった。
ゲートが開いた。隣の2番枠からコウエイテンカイチが押して出て行く。外から福永祐一・キングヘイローも来ていたが、3番人気のこの馬を制して2番手を確保した。ここが最大のポイントだった。2番手キングヘイロー、3番手セイウンスカイなら結果はどうなっていたか。
2番手に収まったセイウンスカイはコウエイテンカイチから2馬身差をキープして追走した。コウエイテンカイチを刺激してペースが上がりすぎてもよくない。それでいて、勝負どころで柔軟に対応できる2番手の外。理想の位置取りでセイウンスカイとの呼吸を合わせ、4角を迎えた。
絶好の手応えで残り400メートル。背後のキングヘイロー、中団外のスペシャルウィークの気配を感じ取ると、横山典はセイウンスカイを先頭へとリードした。
すかさず左ムチ、そして右ムチ。キングヘイローは差を詰められない。坂を上がって残り50メートル。脚が上がり始めたセイウンスカイ。キングヘイローが詰めてきた。スペシャルウィークも来た。しかし、半馬身差、セイウンスカイがゴールへと粘り込んだ。横山典の左腕が派手に上がった。
「初クラシックか。実感は湧かないね」。記者会見は横山典の笑顔で始まった。「他の馬は視界に入らなかった。折り合いをつける。そのことだけを心がけた」
ゲート入りを嫌がり、大歓声を前に何度も心を乱しかけた相棒をひたすらなだめて走り切った2000メートル。「精神面で課題は残っている。だが、それだけ楽しみがあるということだよ」
セイウンスカイはダービーこそ4着に敗れたが、秋は菊花賞を逃げ切って、この世代の2冠を獲得した。玄人好みする騎乗が持ち味であることを世に知らしめた横山典は、今も同じイメージをキープしたまま、競馬の最前線で戦い続けている。
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