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◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断
鈴木康弘元調教師(81)がG1有力候補の馬体ベスト5をセレクトする「達眼」。「第86回皐月賞」(19日、中山)ではロブチェン、パントルナイーフ、グリーンエナジー、カヴァレリッツォ、バステールをピックアップした。なかでも達眼が捉えたのは昨年のホープフルS優勝馬ロブチェン。父ワールドプレミアと母の父ジャイアンツコーズウェイの特長を体現したクラシック候補だ。
バルカン半島の西側に位置するモンテネグロ(旧ユーゴスラビア)には息をのむほど美しい名山がそびえています。黒い玄武岩でできた標高1749メートルのロブチェン山。「黒い山」とも呼ばれ、国名モンテネグロ(ベネト語で「黒い山」)の由来にもなっています。西側が海(コトル湾)、東側が陸(バルカン半島)とあって海洋性気候、大陸性気候双方の影響を受けているそうです。
ロブチェン山と同じ名を持つ黒い馬も息をのむほどたくましい。その馬体は父、母の父双方の影響を受けています。豊富な筋肉量はアイアンホース(蒸気機関車)の異名を取った母の父ジャイアンツコーズウェイの筋肉の塊を想起させます。肩から上腕、前腕にかけての筋肉量が凄い。ロブチェン山の玄武岩のように隆起しています。トモの筋肉もボリューム満点。トモのパワーを推進力に変える飛節も特大。尾も太くて力強い。ナタの切れ味を備えた馬ですが、切れ味以上にパワーにあふれた馬体。鉄の大車輪を激しく回転させて走る蒸気機関車のようなマッチョさです。
骨格は父ワールドプレミア譲りの中長距離仕様。父がG1に出走するたびに馬体を診断してきましたが、各部位のつながりに遊びがあるステイヤー体形でした。ロブチェンも背中に遊びがある。全体に緩めのつくりも同じ。背中に余裕がないと疲れがたまりやすく長距離戦をこなせませんが、この背中なら心配ない。ダービーはもちろん、父が制した菊花賞にも対応できるでしょう。
緩やかな成長曲線も父と同じです。父が3歳で挑んだ有馬記念の馬体診断ではこう述べました。「菊花賞を勝ったとはいえ、キ甲(首と背中の間の膨らみ)も抜けておらず幼さが残っている。本物になるのは来年でしょう」。成長のバロメーターであるキ甲が抜けたのは4歳秋でした。この産駒も山の名を頂きながら、キ甲が山頂のように抜けてこない。現状ではキ甲よりも腰の位置の方が高い、未完成な体です。2歳G1ホープフルSを制したとはいえ、父譲りの晩成型なのか。ともあれ、伸びしろはたっぷりあります。
身心一如。立ち姿にも幼さが残っていますが、なかなか聡明(そうめい)な顔つきをしている。目、耳、鼻先を左前方の一点に集中させ、ハミは強からず弱からずの適度な受け方。腹下に長めの毛が残っていますが、毛ヅヤは良好。黒鹿毛の被毛が春の日差しを浴びたロブチェン山のように黒光りしています。(NHK解説者)
▽ジャイアンツコーズウェイ 97年米国産。アイルランドのA・オブライエン厩舎に所属し、3歳時の00年には英愛G15連勝、欧州年度代表馬に輝いた。
▽ワールドプレミア 16年、北海道安平町のノーザンファーム生産。友道厩舎に所属し、19年菊花賞、21年天皇賞・春を制した。
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。
鈴木康弘元調教師(81)がG1有力候補の馬体ベスト5をセレクトする「達眼」。「第86回皐月賞」(19日、中山)ではロブチェン、パントルナイーフ、グリーンエナジー、カヴァレリッツォ、バステールをピックアップした。なかでも達眼が捉えたのは昨年のホープフルS優勝馬ロブチェン。父ワールドプレミアと母の父ジャイアンツコーズウェイの特長を体現したクラシック候補だ。
バルカン半島の西側に位置するモンテネグロ(旧ユーゴスラビア)には息をのむほど美しい名山がそびえています。黒い玄武岩でできた標高1749メートルのロブチェン山。「黒い山」とも呼ばれ、国名モンテネグロ(ベネト語で「黒い山」)の由来にもなっています。西側が海(コトル湾)、東側が陸(バルカン半島)とあって海洋性気候、大陸性気候双方の影響を受けているそうです。
ロブチェン山と同じ名を持つ黒い馬も息をのむほどたくましい。その馬体は父、母の父双方の影響を受けています。豊富な筋肉量はアイアンホース(蒸気機関車)の異名を取った母の父ジャイアンツコーズウェイの筋肉の塊を想起させます。肩から上腕、前腕にかけての筋肉量が凄い。ロブチェン山の玄武岩のように隆起しています。トモの筋肉もボリューム満点。トモのパワーを推進力に変える飛節も特大。尾も太くて力強い。ナタの切れ味を備えた馬ですが、切れ味以上にパワーにあふれた馬体。鉄の大車輪を激しく回転させて走る蒸気機関車のようなマッチョさです。
骨格は父ワールドプレミア譲りの中長距離仕様。父がG1に出走するたびに馬体を診断してきましたが、各部位のつながりに遊びがあるステイヤー体形でした。ロブチェンも背中に遊びがある。全体に緩めのつくりも同じ。背中に余裕がないと疲れがたまりやすく長距離戦をこなせませんが、この背中なら心配ない。ダービーはもちろん、父が制した菊花賞にも対応できるでしょう。
緩やかな成長曲線も父と同じです。父が3歳で挑んだ有馬記念の馬体診断ではこう述べました。「菊花賞を勝ったとはいえ、キ甲(首と背中の間の膨らみ)も抜けておらず幼さが残っている。本物になるのは来年でしょう」。成長のバロメーターであるキ甲が抜けたのは4歳秋でした。この産駒も山の名を頂きながら、キ甲が山頂のように抜けてこない。現状ではキ甲よりも腰の位置の方が高い、未完成な体です。2歳G1ホープフルSを制したとはいえ、父譲りの晩成型なのか。ともあれ、伸びしろはたっぷりあります。
身心一如。立ち姿にも幼さが残っていますが、なかなか聡明(そうめい)な顔つきをしている。目、耳、鼻先を左前方の一点に集中させ、ハミは強からず弱からずの適度な受け方。腹下に長めの毛が残っていますが、毛ヅヤは良好。黒鹿毛の被毛が春の日差しを浴びたロブチェン山のように黒光りしています。(NHK解説者)
▽ジャイアンツコーズウェイ 97年米国産。アイルランドのA・オブライエン厩舎に所属し、3歳時の00年には英愛G15連勝、欧州年度代表馬に輝いた。
▽ワールドプレミア 16年、北海道安平町のノーザンファーム生産。友道厩舎に所属し、19年菊花賞、21年天皇賞・春を制した。
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。
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