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◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断
引退の花道に悲願の花が咲く。鈴木康弘元調教師(81)がG1有力候補の馬体ベスト5をセレクトする「達眼」。「第56回高松宮記念」(29日、中京)ではナムラクレア、サトノレーヴ、パンジャタワー、ジューンブレア、ママコチャの5頭をピックアップ。中でも達眼が捉えたのは、牡丹(ぼたん)の大輪のような丸く大きな筋肉を備えたナムラクレア。G1は2着3回、3着4回と惜敗の山を築いてきたが、ラストランで初制覇を飾る構えだ。
立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花…。美しい女性の立ち居振る舞いを花に例えた、江戸末期の流行歌(都々逸)の一節です。芍薬のような凜(りん)とした立ち姿、牡丹のように安定した座り姿、百合(ゆり)の優美な歩き姿を表していますが、春の彼岸明けといえば牡丹。ご先祖さまにお供えする牡丹餅(ぼたもち)の由来になっているのも、この大輪の花です。日ごと膨らみを増す牡丹のつぼみに春の訪れを感じている人も多いでしょう。
ナムラクレアは牡丹よりひと足早く満開を迎えました。牡丹の大輪のような丸く大きな筋肉を前後肢にバランス良く付けています。特にトモの筋肉が素晴らしい。トモにつながるスネの筋肉も凄い。肩にも後肢に負けない立派な筋肉を備えています。
花の盛りをとうに過ぎた7歳牝馬。この年齢になると、体が多少なりとも硬く映るものです。冒頭の都々逸では「婆(ばばあ)になれば、萎(しお)れ花」と、むごい言葉が続きますが、ナムラクレアは萎れていないし、硬くなってもいない。風で茎が折れないように弾力性を備えた牡丹の花首のような柔らかい肉体を保っている。
身心一如。活気に満ちた馬体は充実した精神と表裏一体です。力強い目の輝きや気持ちの入った耳の立て方に充実した精神状態が表れています。立ち姿には力強さと安定感がある。前肢に六分、後肢に四分の理想的な体重のかけ方。座れば牡丹といいますが、立っても牡丹のような堂々とした華やかさを漂わせています。腹下とスネに冬毛が少し見られますが、この季節の牝馬なら問題なし。ふっくらした腹周りには余裕さえ感じられます。
先述の都々逸は七五調でさらに続きます。「小野小町か、輝手姫(てるてひめ)、見ぬ唐(もろこし)の楊貴妃か、普賢菩薩(ふげんぼさつ)の再来か」。抜き身の短刀のような切れ味を持つナムラクレアをなぞらえるなら…。昭和の銀幕に輝いた“緋牡丹お竜”の再来か。ともあれ、幕引きの大一番までターフに輝き続ける名牝に違いありません。
引退戦に懸かる悲願のタイトル。その花道を飾るのは…。彼岸明けを待って咲く牡丹の大輪のような馬体か。立てば牡丹、座れば牡丹、花道を歩く姿も牡丹花…。(NHK解説者)
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。
≪仕上がり太鼓判≫ナムラクレア陣営のラストランに懸ける思いは中間の攻め量からも伝わってくる。18日には浜中を背に坂路で4F51秒7〜1F11秒7の好時計。疋田厩務員は「去年ぐらいから調教量を増やして、馬が飽きないようにやってきている」と工夫を明かし、「日曜(22日)にも時計を出して、リズム良く走っていた。乗り手も納得していた。筋肉量も落ちていない」と仕上がりに太鼓判を押した。
引退の花道に悲願の花が咲く。鈴木康弘元調教師(81)がG1有力候補の馬体ベスト5をセレクトする「達眼」。「第56回高松宮記念」(29日、中京)ではナムラクレア、サトノレーヴ、パンジャタワー、ジューンブレア、ママコチャの5頭をピックアップ。中でも達眼が捉えたのは、牡丹(ぼたん)の大輪のような丸く大きな筋肉を備えたナムラクレア。G1は2着3回、3着4回と惜敗の山を築いてきたが、ラストランで初制覇を飾る構えだ。
立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花…。美しい女性の立ち居振る舞いを花に例えた、江戸末期の流行歌(都々逸)の一節です。芍薬のような凜(りん)とした立ち姿、牡丹のように安定した座り姿、百合(ゆり)の優美な歩き姿を表していますが、春の彼岸明けといえば牡丹。ご先祖さまにお供えする牡丹餅(ぼたもち)の由来になっているのも、この大輪の花です。日ごと膨らみを増す牡丹のつぼみに春の訪れを感じている人も多いでしょう。
ナムラクレアは牡丹よりひと足早く満開を迎えました。牡丹の大輪のような丸く大きな筋肉を前後肢にバランス良く付けています。特にトモの筋肉が素晴らしい。トモにつながるスネの筋肉も凄い。肩にも後肢に負けない立派な筋肉を備えています。
花の盛りをとうに過ぎた7歳牝馬。この年齢になると、体が多少なりとも硬く映るものです。冒頭の都々逸では「婆(ばばあ)になれば、萎(しお)れ花」と、むごい言葉が続きますが、ナムラクレアは萎れていないし、硬くなってもいない。風で茎が折れないように弾力性を備えた牡丹の花首のような柔らかい肉体を保っている。
身心一如。活気に満ちた馬体は充実した精神と表裏一体です。力強い目の輝きや気持ちの入った耳の立て方に充実した精神状態が表れています。立ち姿には力強さと安定感がある。前肢に六分、後肢に四分の理想的な体重のかけ方。座れば牡丹といいますが、立っても牡丹のような堂々とした華やかさを漂わせています。腹下とスネに冬毛が少し見られますが、この季節の牝馬なら問題なし。ふっくらした腹周りには余裕さえ感じられます。
先述の都々逸は七五調でさらに続きます。「小野小町か、輝手姫(てるてひめ)、見ぬ唐(もろこし)の楊貴妃か、普賢菩薩(ふげんぼさつ)の再来か」。抜き身の短刀のような切れ味を持つナムラクレアをなぞらえるなら…。昭和の銀幕に輝いた“緋牡丹お竜”の再来か。ともあれ、幕引きの大一番までターフに輝き続ける名牝に違いありません。
引退戦に懸かる悲願のタイトル。その花道を飾るのは…。彼岸明けを待って咲く牡丹の大輪のような馬体か。立てば牡丹、座れば牡丹、花道を歩く姿も牡丹花…。(NHK解説者)
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。
≪仕上がり太鼓判≫ナムラクレア陣営のラストランに懸ける思いは中間の攻め量からも伝わってくる。18日には浜中を背に坂路で4F51秒7〜1F11秒7の好時計。疋田厩務員は「去年ぐらいから調教量を増やして、馬が飽きないようにやってきている」と工夫を明かし、「日曜(22日)にも時計を出して、リズム良く走っていた。乗り手も納得していた。筋肉量も落ちていない」と仕上がりに太鼓判を押した。
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