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【有馬記念】「ザ・ロイヤルファミリー」と同じ“継承”が今年のキーワード

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 無性に天ぷらが食べたくなって「てんや」へ向かう。いつもは半額弁当ハンターだけど、今日はプチぜいたく。なぜならチャンピオンズカップが当たったからです。ありがとうダブルハートボンド&坂井瑠星騎手。チャンピオンズ成金は1030円の「オールスター天ぷら定食」をオーダーする。おお〜熱々サクサクで、うまい♪

 天ぷら欲が高まった理由は、TBS日曜劇場の「ザ・ロイヤルファミリー」。チームロイヤルの面々が天ぷら屋さんに集まって作戦会議をするものだから、頭のなかが天ぷらでいっぱいになって「てんや」に駆け込んだというわけだ。まあ、あの高級そうなお店と「てんや」は違うけど、きっと山王耕造オーナーは庶民をバカにしたりしない。ブランドや肩書に関係なく、信じた相手と熱意を通わせて、一緒に夢を追いかける人だから!と、ドラマの登場人物にこんなに入れ込むのも珍しい。山王オーナーには恩があるのだ。

 3年前に母が旅立ったとき、私はお悔やみを食い気味に言い返した。

 「お母さんは苦労したねえ」

 「でも仕事が好きだったんだと思います!」

 「逝くのが早すぎるよ」

 「だけど濃い人生だったと思います!」

 先方が悼んでくれているというのに、いま思うと本当に申し訳ないのだが……なにがなんでも母の人生を肯定したかった。その死を含めて母の人生を肯定するために、ムキになって家業の布屋を継いだところがある。

 父までこの世を去ったのはこたえたが、なんとか踏ん張ってやってきた。だけどこの秋、ぷっつり気持ちが切れた。ショックな出来事にとらわれすぎてしまう。母と父のことをぐるぐる考えてしまう。私はダメな人間だ。布屋の経営は上向きなのに、会社じゃなくて自分が破綻するのか…。

 こじらせの果てに、ふと思った。ロイヤルファミリーを見よう。TVerで第1話を見てみよう。

 佐藤浩市さんが演じるワンマン社長の山王耕造は、妻夫木聡さんが演じる税理士の栗須栄治に言った。

 「俺は親父が死んで立ち直れないような人間、嫌いじゃないよ」

 その言葉を聞いて涙があふれた。そうか。私は親が死んで立ち直れないのか。山王オーナーに、弱さを含めて肯定してもらったような気がした。

 ロイヤルファミリーは有馬記念を勝つことができただろうか。そして現実の有馬記念はどの馬が勝つのか。狙う馬は決めている。キーワードはドラマと同じ「継承」。スポニチ本紙のGI予想コラム「えい!えい!!オークス」で会いましょう☆(井上オークス)
(C)スポーツニッポン