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【阪神JF】スターアニス レースレコードタイでV いざ厩舎初の桜花賞制覇へ

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<阪神11R・阪神JF>直線で抜け出し勝利するスターアニス(左) (撮影・亀井 直樹)
 2歳女王決定戦「第77回阪神ジュベナイルフィリーズ」が14日、阪神競馬場で行われ、松山弘平(35)騎乗の2番人気スターアニスが1分32秒6のレースレコードタイで優勝。キャリア初のマイルを克服し、G1タイトルを奪取した。同舞台で行われる桜花賞(26年4月12日)に堂々主役として向かっていく。管理する高野友和師(49)は21年当レース1番人気4着に敗れたナミュールの雪辱を果たし、JRA・G111勝目を挙げた。

 歓喜のゴール板。ポンとスターアニスの首筋をなでた松山の表情がほころんだ。「前走(中京2歳S2着)で負けたのに、またこんなに強い馬に乗せていただけた。本当に感謝です」。ウイニングランでは何度も手を上げて相棒の強さを大観衆に示威。28年ぶりに重賞勝ち馬不在となった2歳女王決定戦。大混戦の下馬評を覆す1馬身1/4差の完勝劇だった。

 シナリオ通りの展開。前半3F33秒7のハイラップを刻む先行勢を見ながら、道中は中団で待機した。返し馬で抜群の状態であることを確認した松山は「跳びが大きい馬なので、内にこだわらず外に出して伸び伸び走らせた方がいい」と判断。外枠の馬を先に行かせ、スッと馬群の外へ持ち出した。

 不利もなく、減速もなく、まさに心置きなく加速したスターアニスはメンバー2位タイの上がり3F34秒5の末脚で先頭に躍り出る。手綱から伝わる手応えに松山も「追い出しを我慢する余裕さえあった。強かった」とうなる。混戦の2着争いを尻目に、直線半ばからは独壇場。「跳びが奇麗な馬なので雨が降らなければと。しっかり晴れて奇麗な馬場で、運も味方してくれた」。神様の演出もパートナーの強さを際立たせた。

 喜色満面で愛馬を出迎えた高野師は「凄い馬。感嘆している」と感無量。母エピセアロームは11年の当レースで2番人気8着に敗れ、スプリント路線で活躍。戦前は距離不安説も師の耳に入ってきた。「たくさん聞いていた(笑い)。力があるし、競馬が下手な馬じゃないので走ってくれると思っていた」と振り返る。

 指揮官はショウナンパンドラ、レイパパレ、スタニングローズナミュールに続く牝馬でのG1制覇。「来年の春、狙うべきはここと同じ舞台。立場上は主役になる。期待に応えられるように」。厩舎初となる桜花賞制覇へ。桜戦線の主演女優に名乗りを上げた。

 前哨戦を挟むかどうかを含めて次走はオーナーサイドとの協議を経て決まる。指揮官は「状態ありきで。勝つ確率が高くなるように」と方針を伝え、「お母さんの頃から応援している方もいるだろうし、普段は可愛くて、ファンの方に愛されるキャラクターでもあると思う」とチャームポイントをアピールする。母にも騎乗経験がある松山は「本当に賢くて普段はおっとりしている。お母さんより距離が持つのはいいところ。本当にいい馬」と資質に太鼓判を押す。気立ての良い快速ニューヒロインは、スター街道をまっしぐらに駆けていく。

 スターアニス 父ドレフォン 母エピセアローム(母の父ダイワメジャー) 23年2月4日生まれ 牝2歳 栗東・高野厩舎所属 馬主・吉田勝己氏 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績4戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金8476万8000円 馬名の由来は中国原産の香辛料、八角。

 ○…生産牧場のノーザンファームは22年リバティアイランドで制して以降、4年連続の当レース勝利で通算15勝目。ノーザンファーム早来の津田朋紀場長は「一番、印象深いのは(父の)ドレフォンの自在性ですね。この世代で期待していたし、(母の)エピセアロームも大事にしていて、つながる牝馬が出てきてうれしいです。牧場にとって思い出のある血統。高野先生が大事に仕上げてくれて、力を発揮してくれた」と感謝した。母エピセアロームはモーリスの子を受胎中。

 ○…馬主の吉田勝己氏は阪神JF初勝利。JRA・G1はコスタノヴァで制した2月のフェブラリーS以来、通算9勝目。吉田氏は「本当に凄かった。4コーナーを回ったところから勝利を確信した。(父の)ドレフォンは短距離だし、母は短いところだったけど馬は強かったですね。桜花賞は調教師と相談します」と満足げに語った。
(C)スポーツニッポン