【香港日記＜1＞】4度目の香港出張。何度来ても、日本の精鋭たちが一斉に登場する追い切りは心が躍る。芝コースには本番までの傷みを抑えるため、内側から7つのコーンを設置。各馬は外ラチ沿いを走り続け、時計以上に負荷がかかっている。水曜朝、この調教コースを見た田中博師がつぶやいた。「芝で追い切る場合はかなり外を回ることになる。あの時計はやっぱりすさまじいですよ」。香港カップの大本命ロマンチックウォリアーは火曜朝に芝コースで追い切り。6F76秒9〜ラスト2F22秒3の好時計は額面以上の価値がある。

　同時に若き指揮官は「トレセンのソフトな馬場で調教する日本馬とは違い、普段からこの硬い馬場で馬を仕上げているのは少し信じられない。かなりハイレベルな技術力を感じる」と舌を巻く。具体的にどんな工夫を感じるかと聞くと「それは各陣営の企業秘密だし、簡単には教えてくれないでしょう」と笑った師。坂路がなく、コースのバリエーションも少ないシャティン競馬場で鍛えられる香港馬たち。創意工夫の日々の調教に近年の強さが隠されているのかもしれない。（高木　翔平）