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【阪神JF】アランカール 無敗2歳女王へ自己ベスト6F81秒6 斉藤崇師「いい形で競馬できれば」

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Cウッドを3頭併せで追い切るアランカール(手前)
 97年以来、28年ぶりに重賞勝ち馬が不在となった2歳女王決定戦「第77回阪神ジュベナイルフィリーズ」の最終追い切りが10日、東西トレセンで行われた。2戦無敗のアランカールは、栗東CWコース併せ馬で6F81秒6の自己ベストをマーク。才能の片りんを見せるデモンストレーションを披露した。今年のダービーをクロワデュノールで制した北村友一(39)、斉藤崇史師(43)の強力タッグが次世代ヒロイン候補を勝利に導く。同レースは11日に出走馬が確定、枠順が発表される。

 ライバルの相次ぐ離脱で急騰する相対評価。無敗の“原石”アランカールはそんな重圧はどこ吹く風に、破格の輝きを放っている。

 CWコースで行われた最終追いは3頭併せ。ヴァリージア(5歳1勝クラス)とアルジェンテーラ(2歳新馬)を前に置き、直線半ばまで我慢。手綱が解放されると内からスッと並びかけた。6F(1200メートル)81秒6の全体時計は2週前にマークした自己ベストをさらに0秒7更新。斉藤崇師は「思ったより時計は速くなったが内を回っていたし、凄く楽な感じで並んでいった」と評価した。

 母は16年オークスを制したシンハライト。“輝かしい成績を収められるように”と母同様の由来で、母同様に宝石の名が授けられた。今年のダービーをクロワデュノールで制した北村友&斉藤崇師はその成長曲線を「ゆっくり」と異口同音に表現するが、新馬戦は4馬身、続く野路菊Sは3馬身半差。最後方追走からの圧勝劇は母の父ディープインパクトをほうふつさせ、進化の道半ばでもその脚力は抜きんでている。トレーナーは「小柄だけど走りのバランスが良くて、前向きさもある。そこをコントロールさえできれば凄くいい瞬発力を持っている」と長所を解説する。

 口向きの難しさが最大の課題だが「普段から馬の後ろでしっかりとはめるような感じで調整をしてきた」。リミッターを外し全速力で駆けるレースを経験すると口向きが悪化するケースもあるが、3日の1週前追いでコンタクトを取った北村友は「2戦使っても悪くなった感じはない」と言い切る。「精神的に落ち着きが出て、ゆとりが出てきた。改めて“いい馬だな”と」と素質にほれ込む。

 キャリア2戦は7頭、6頭立て。多頭数は未経験で、課題がないわけではない。それでも見る者の目を奪う天賦の才には一発クリアを期待せざるを得ない。指揮官は「来年のクラシックに向けて、いい形で競馬ができれば。お母さんに追いつけるように頑張っていきたい」と結んだ。23年生まれの牝馬は指折り数えられないほど故障に泣いた。“悲運の世代”の2歳女王決定戦はアインブライドが制した97年以来、28年ぶりに重賞勝ち馬が不在。垂れ込める暗雲を振り払う輝きを、アランカールは持っている。

 ≪2戦2勝は過去10頭V≫阪神JFが牝馬限定戦になった91年以降、無敗で優勝した馬は14頭。そのうち、アランカールと同じ2戦2勝のキャリアだった馬は10頭(ほかは3戦3勝が3頭、1戦1勝が1頭)。19年に2戦2勝で挑んだレシステンシアは北村友とのコンビで5馬身差の圧勝だった。鞍上は当時と同じキャロットファームの勝負服で当レース2勝目を狙う。

 ≪18年クロノジェネシス2着 タッグでいざリベンジ≫北村友&斉藤崇師のタッグはこれまでJRA・G1で16戦して5勝をマーク。トータルの成績は【5・3・3・5】で連対率50%と信頼度は高い。このタッグで初めてのG1はクロノジェネシスで挑んだ18年阪神JF。半馬身差の2着に惜敗した当時(勝ち馬ダノンファンタジー)のリベンジに燃える。
(C)スポーツニッポン