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この馬が元気で牧場に戻っていたら、日本競馬の歴史は、また変わっていたかもしれない。それだけの期待を託していい素材だった。
08年にブエナビスタが制したこのレース。3年後、妹のジョワドヴィーヴルも出走への登録を行った。
キャリアは1戦。新馬勝ちを決めたとはいえ、まだ「来年のG1を狙える」とまでは言いにくい。ただ、指揮官だけは、その潜在能力を見抜いていた。
最終追い終了後、報道陣が松田博資師に恐る恐る聞いた。「あのー、姉と比較するというのは…まだかわいそうですよね」。「当たり前やろ!」のような返事が来ると思って身構えたところ、指揮官はこう言い放った。
「この馬は、そんなことないわ」
比較できるレベルにある、ということだ。これには報道陣の方があっけにとられた。
無事、抽選を突破。4番人気でキャリア2戦目、G1の大舞台に挑んだ。
道中は10番手付近。いつでも動ける外をキープし、直線を向いた。外からしっかりと脚を伸ばす。残り150メートルでもう先頭。力強く前に出て2着アイムユアーズに2馬身半差をつける快勝。偶然にも姉ブエナビスタと同じ着差で完勝を収めた。
凄い馬が出てきた。歴史が変わる。そんな思いでゴール前を見届けた人は多かったはずだ。松田博師は語った。「強い勝ち方をしてくれたな。走るとは思っていた。ただ、キャリア1戦だけだし、どうかなとも思っていた。2戦目でこれだけ変わるとは思っていなかった」
名馬を何頭も送り出した指揮官だが、その想像を超える勝ちっぷりだった。
「先生、勝ったからいいでしょう。姉や過去の名馬とジョワドヴィーヴルの能力を比較してください」。名馬覚醒の瞬間に立ち会い、半ば興奮気味の報道陣を松田博師は、こういなした。
「並ぶ、並ばんと言われても、それは同時期に出てこないと分からないだろう。とにかく能力に期待していいということや」。最後は苦笑いしながらのコメントだった。
ただ、ジョワドヴィーヴルはこちらが期待した道を歩むことはできなかった。3戦目のチューリップ賞で3着に敗れ、桜花賞も6着。骨折を負い、白星に恵まれず、4歳の5月29日、栗東での調教中に左下腿骨開放骨折を発症。安楽死処分となった。
「もうひと花もふた花も咲かせてやりたかったのに」。松田博師は無念さを押し殺しながら報道に対応した。
2戦目でG1を制し「ターフの天才少女」「3冠確実」といわれた。ジョワドヴィーヴルが子孫を残していたら…。きっと今とはまた違う競馬があったのだろう。
08年にブエナビスタが制したこのレース。3年後、妹のジョワドヴィーヴルも出走への登録を行った。
キャリアは1戦。新馬勝ちを決めたとはいえ、まだ「来年のG1を狙える」とまでは言いにくい。ただ、指揮官だけは、その潜在能力を見抜いていた。
最終追い終了後、報道陣が松田博資師に恐る恐る聞いた。「あのー、姉と比較するというのは…まだかわいそうですよね」。「当たり前やろ!」のような返事が来ると思って身構えたところ、指揮官はこう言い放った。
「この馬は、そんなことないわ」
比較できるレベルにある、ということだ。これには報道陣の方があっけにとられた。
無事、抽選を突破。4番人気でキャリア2戦目、G1の大舞台に挑んだ。
道中は10番手付近。いつでも動ける外をキープし、直線を向いた。外からしっかりと脚を伸ばす。残り150メートルでもう先頭。力強く前に出て2着アイムユアーズに2馬身半差をつける快勝。偶然にも姉ブエナビスタと同じ着差で完勝を収めた。
凄い馬が出てきた。歴史が変わる。そんな思いでゴール前を見届けた人は多かったはずだ。松田博師は語った。「強い勝ち方をしてくれたな。走るとは思っていた。ただ、キャリア1戦だけだし、どうかなとも思っていた。2戦目でこれだけ変わるとは思っていなかった」
名馬を何頭も送り出した指揮官だが、その想像を超える勝ちっぷりだった。
「先生、勝ったからいいでしょう。姉や過去の名馬とジョワドヴィーヴルの能力を比較してください」。名馬覚醒の瞬間に立ち会い、半ば興奮気味の報道陣を松田博師は、こういなした。
「並ぶ、並ばんと言われても、それは同時期に出てこないと分からないだろう。とにかく能力に期待していいということや」。最後は苦笑いしながらのコメントだった。
ただ、ジョワドヴィーヴルはこちらが期待した道を歩むことはできなかった。3戦目のチューリップ賞で3着に敗れ、桜花賞も6着。骨折を負い、白星に恵まれず、4歳の5月29日、栗東での調教中に左下腿骨開放骨折を発症。安楽死処分となった。
「もうひと花もふた花も咲かせてやりたかったのに」。松田博師は無念さを押し殺しながら報道に対応した。
2戦目でG1を制し「ターフの天才少女」「3冠確実」といわれた。ジョワドヴィーヴルが子孫を残していたら…。きっと今とはまた違う競馬があったのだろう。
(C)スポーツニッポン