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【エリザベス女王杯】レガレイラ雪辱V!現役最多タイG1・3勝目 戸崎吠えた「ベリーベリーホース」

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<エリザベス女王杯>馬群から抜け出し、レースを制したレガレイラ(手前)(撮影・平嶋 理子)
 ベリーベリーホースだ!「第50回エリザベス女王杯」が16日、京都競馬場で行われ、圧倒的支持を集めたレガレイラがレースレコードを0秒1更新する2分11秒0の好時計で快勝。昨年5着の雪辱を果たし、現役最多タイのJRA・G1・3勝目を挙げた。鞍上の戸崎圭太(45)は15年スプリンターズS(ストレイトガール)以来、実に10年ぶりとなる1番人気でのG1美酒。管理する木村哲也師は53歳の誕生日にまた一つ勲章を手に入れた。

 大外から突き抜けたレガレイラの背中で戸崎が一心不乱にステッキを振るう。「必死だった」。独走でゴール板を駆け抜け、押し寄せた安堵(あんど)。同時に心が震えた。有馬記念優勝後に右前第1指骨剥離骨折を発症。復帰戦の宝塚記念は11着に沈んだ。「長く休んで、そこから立て直してまた結果を出してくれた。感動しています」。大観衆の前で何度も手を上げて相棒の偉業をアピール。お立ち台では「ベリーベリーホース!」と叫んで喝采を浴びた。

 昨年と同じ4枠7番からのスタート。鞍上のプランは「ポジションを決め打ちせず。内に閉じ込められないように」。外から殺到する他馬をやり過ごし、初角で中団の外を確保。「雰囲気が凄く良かったし、最後の脚はいいものを持っているので」と、3角から自信満々に馬群の外から押し上げた。上がり3Fはメンバー最速タイの34秒2。スムーズに脚を伸ばすグランプリホースにライバルはなすすべがなかった。

 戸崎が1番人気馬に騎乗してG1を勝つのは10年ぶり。当時ストレイトガールは単勝支持率17・9%だったが、この日は同33・7%。一身に支持を集めても、やるべきことに迷いはなし。「彼女の強さを信じて乗っただけ」。責任を全うしたリーディングジョッキーの表情はすがすがしかった。

 イクイノックスで世界一に輝いた木村厩舎の厩舎力も光った。前走オールカマーではゲートで気持ちが高ぶり出負け。それを踏まえ、ファンファーレが鳴り響く前に、レガレイラはただ1頭、ゲートに入って予行演習を行った。同馬にとってキャリア初の試みは木村厩舎のポリシー“失敗からでしか前に進めない”が反映されたもの。木村師は「効果があったかは分からない」と笑ったが、狙い通りに好スタートを切った人馬は理想の位置取りを確保することができた。

 53歳の誕生日に、「受け入れたくない」という昨年5着の悪夢を払拭した指揮官は感無量の面持ち。「パドックでも自信を持って歩いていたし、オーラがあった。フィジカル的にたくましくなってお姉さんになってきた。レース直後に変な息の乱れもなく、改めて器の大きな馬だと感心した」と愛馬の成長を伝える。

 既定路線通り、有馬記念(12月28日、中山)に参戦となれば、牝馬では史上初の連覇が懸かる一戦になる。既に歴史にその名を刻んでいる名牝レガレイラ。この先はその刻印をより深く、色濃いものにしていく旅路が待っている。

 ◆レガレイラ 父スワーヴリチャード、母ロカ(母の父ハービンジャー)21年4月12日生まれ 牝4歳 美浦・木村厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績11戦5勝(重賞4勝目) 総獲得賞金8億3563万7000円 馬名の由来はポルトガル中西部の都市シントラにある宮殿。
(C)スポーツニッポン