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【菊花賞】ショウヘイ100点! 長距離戦にも対応できる“大谷ばり”筋肉成長曲線

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大谷のような筋肉の成長を見せているショウヘイ
 ◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

 3冠レース最終戦で3分余の翔タイムだ。鈴木康弘元調教師(81)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第86回菊花賞(26日、京都)はショウヘイエリキングに満点をつけた。なかでも、達眼が捉えたのはショウヘイ。リーグ優勝決定シリーズMVPに輝いたドジャース・大谷翔平ばりに肉体の進化が見える。3000メートルの長距離戦にも対応できる機能性の高い筋肉を絶賛した。

 名詮自性(みょうせんじしょう)という言葉があります。名前はその本質を表すとの意味。MLBドジャースがリーグ優勝決定シリーズでブルワーズを下した試合後のシャンパンファイト。大谷翔平のシャンパンで濡れた黒っぽいチャンピオンTシャツから筋肉が透けて見えました。胸板や二の腕の筋肉がはち切れそうなほど隆起している。花巻東高時代のひょろっとした姿からは想像できない筋肉。プロ野球界に入って十数年、時間をかけて肉体改造に取り組んできた成果でしょう。そんなボディーの変貌は同じ名を持つサラブレッドの体の変化とダブって映ります。

 翔平の胸板同様、ショウヘイの胸前を覆うのも鍛え抜かれた厚手の筋肉。幅のある首の付け根にも筋肉がこぶしのように隆起している。腰から尻にかけてもはち切れそうなほど筋肉が盛り上がっています。総体的にダービー(3着)時よりも明らかに筋肉量が増えている。3歳のひと夏を越しての成長です。

 毛ヅヤも抜群にさえている。黒鹿毛の被毛が翔平の濡れたTシャツのように黒光りしています。体調も申し分ありません。

 中距離ホースの体形ですが、各部位のつながりに遊びがある。ボリュームアップした筋肉は質も備えています。疲れのたまりづらい柔らかい筋肉。アスリートの筋肉は見せるためではなく、機能させるためのものですが、ショウヘイの筋肉も機能性が高い。3000メートル戦にも対応できる機能を備えています。

 3歳夏を越して気性も成長しました。ダービー時の馬体診断では「姿勢が不安定。打席に入った大谷翔平のように、どっしりと立ってほしい」と立ち姿に注文をつけましたが、今回は四肢で大地をつかんだバランスの良い姿勢で立っています。元々折り合いに苦労する馬ではありませんが、大人になった今なら3000メートル戦の緩い流れでも我慢が利くでしょう。折り合いは長距離戦を克服するための必須条件。その点に不安がないのも心強い限りです。

 ドジャースの連覇が懸かるワールドシリーズは日本時間25日に開幕。二刀流の翔タイムに熱視線が注がれます。名詮自性。その翌日にゲートインする菊花賞のショウタイムも見逃せません。(NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。
(C)スポーツニッポン