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【スプリンターズS】香港馬ラッキースワイネス100点!くびれ鮮やか、飛節の角度も深い

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ラッキースワイネス
 ◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断 番外編

 馬体診断(G1週の火曜付掲載)でおなじみの“達眼先生”こと鈴木康弘元調教師(81)が“番外編”として香港馬ラッキースワイネスも診断。筋肉マッチョなボディーを絶賛した。

 日々のトレーニングは体に奇麗なくびれをつくります。人間なら腹斜筋などを鍛えることで美しいくびれを手に入れることができる。たとえば、香港アクション界の大スター、ジャッキー・チェン。あの鋼のような肉体は格闘技の筋トレが生み出したそうです。ラッキースワイネスを香港スプリント界のスターホースに押し上げたのも鍛え抜かれた筋肉のボリューム。その後ろ姿に強さの理由が示されています。

 股には力こぶのような筋肉のくびれ。トモ(後肢)を鍛え抜いた証です。股のくびれは大きなトモを持つスプリンターに顕著に表れますが、これほど鮮やかにくびれているとは…。股の筋肉は臀筋(でんきん)と共にエンジン部に相当する重要部位。成熟度のバロメーターにもなっています。半世紀も前になりますが、私が英国に厩舎留学した当時、トレーナーたちは管理馬の後ろ姿を見て、「完成してきたな」、「成長途上だ」などとジャッジを下したものです。熟年は背中で語るといいますが、熟した馬は股で語る。7歳セン馬ラッキースワイネスの成熟度はピークに達しています。

 トモのパワーを推進力に変換する飛節の角度はとても深い。「曲飛」と呼ばれる深い飛節は持久性に欠ける半面、後肢の回転を速め、一瞬の加速力を生み出すためスプリンターに多い。両後肢の球節にはクモズレ(擦過傷)防止用のテーピングが施されています。曲飛のため後肢の球節が地面に強く触れ、外傷を生じやすいのです。

 昨年の安田記念時に絶賛した香港馬ロマンチックウォリアー(優勝)ほどアカ抜けていませんが、落ち着き払った姿は頼もしい。この姿ならメンコも必要ないでしょう。馬体診断ではナムラクレアサトノレーヴを満点としましたが、ラッキースワイネスも全く見劣りしません。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。
(C)スポーツニッポン