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【追憶の新潟記念】08年アルコセニョーラ 16番人気馬、衝撃の快走 武士沢現教官の右手が上がった

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08年新潟記念を制したアルコセニョーラ。武士沢騎手はガッツポーズ
 今年61回を迎える新潟記念。過去60回のこのレースで最も人気薄が制したのは08年、牝馬アルコセニョーラだった。

 18頭立ての16番人気。2着は2番人気のマイネルキッツだったが、3着トウショウシロッコがこれまた14番人気で、3連単は102万8690円ついた。

 ちなみにこの日は札幌メーンのキーンランドCも16頭立てしんがり人気のタニノマティーニが勝って3連単56万超え。当時はまだWIN5はなかったが、あったら配当はいかほどになっていたか。

 そのアルコセニョーラ。一世一代の走りだった。道中は14番手。いつものポジションだ。直線を向く。やけに武士沢友治騎手(引退)の手応えがいい。周囲の馬にはムチが入っていたが、アルコセニョーラだけは抜群の手応えだった。

 残り400メートルで追い出す。カメラが周囲の馬を映し出し、外のアルコセニョーラに戻ってきた時は、もう先頭だった。力強く2馬身引き離して完勝。武士沢騎手の右手がわずかに上がった。

 アルコセニョーラといえば武士沢騎手とセットで覚えている人は多いだろう。だが、実はこの新潟記念が初コンビだった。

 騎乗のきっかけは“代打”だった。当初は札幌のキーンランドC・ダイワマックワンに騎乗予定だったが、同馬が除外確実となった。

 武士沢騎手はその日の騎乗競馬場を新潟へと切り替え、アルコセニョーラ陣営の依頼を受けた。

 過去のレースは何度も見ていた。「タメて脚を使った方がいいと思っていた。実際に乗ってイメージ通りの手応えがあった。あとは自分が早く動きすぎないことだと思っていた」

 新潟記念前の直近5戦中4戦が2桁着順。成績は思わしくなかったが、武士沢騎手は初騎乗。先入観を持たなかったことが良かったようだ。

 今は競馬学校の教官として頑張っている武士沢元騎手。16番人気馬をVへと導いた経験は騎手を目指す若者たちに伝える、最高の題材だろう。個性的な騎手を1人でも多く、ターフに送り出してほしい。
(C)スポーツニッポン