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ノーザンホースパークで第二の馬生!注目度凄い“香港最強馬”ゴールデンシックスティ

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力強く歩くゴールデンシックスティ
 水曜付夏企画「夏リポ」の第9弾は東京本社・後藤光志(29)が担当する。多くの元競走馬が“第二の馬生”を過ごすノーザンホースパークを訪問。今年2月からけい養されている香港最強馬ゴールデンシックスティ(セン10)をはじめ、輝かしい功績を残したG1馬、偉大な血を残した功労馬たちの今を取材した。

 北海道苫小牧市。豊かな緑に囲まれた牧場地帯の一角にノーザンホースパークはある。園内には現役時代に名をはせた馬が数多くけい養されている。今年2月にはゴールデンシックスティが仲間に加わった。昨年9月に現役引退、通算成績は31戦26勝。うちG1は10勝。23年香港マイルではナミュール(3着)、ソウルラッシュ(4着)など日本のG1馬4頭を抑えて頂点に立った。母国のみならず、日本でもその強さが脳裏に焼き付いているファンも多いはず。

 同馬は5月10日から一般公開がスタート。乗馬運営課の田澤直沙美(まさみ)さんは「オーナーさまが日本のことが元々お好きな方で、ノーザンホースパークを訪れた時に大変気に入ってくださりました。“ぜひ、シックスティが引退した後はホースパークでのんびり過ごしてほしい”ということでうちにやってきました」とけい養に至った経緯を説明する。

 ファンの注目度もがぜん高い。「香港のファンが多い印象ですね。“シックスティ!”って感激されている方もいて、やっぱり向こうでは大スターだったんだなと。入厩のお知らせをした3日後くらいには“シックスティどこですか?”と、香港からファンがいらっしゃるくらい。メールの問い合わせも凄かったみたいです」と田澤さん。取材時も放牧中の同馬の周りには常に観光客の姿があった。

 名馬に合いたいのはファンだけでなく騎手も同じ。月に1度のペースで、主戦を務めたチャクイウ・ホー(35)も合いに来ているという。田澤さんは「“彼(ゴールデンシックスティ)になら安心して乗れるよ”と(ホーが)話していて、やっぱり信頼度が桁違いのようで家族みたいな感じですね。運動してマッサージしてあげたり、お手入れしてあげたり、丸一日彼と過ごしています。シックスティもうれしそうですよ。いい顔になってます」と人馬の様子を伝える。

 現在は午前8時半〜午後3時ごろに放牧されており、のんびりした姿の同馬を見ることができる。「いろいろなことに興味がある馬なので、積極的にファンのところに来ますね。放牧地に来たばかりの時は車が通ると追いかけたり、ポニーが通りかかっても追いかけてますね。人を怖がったりしないです」。“香港のスター”に合える絶好の機会。皆さんもぜひ、ノーザンホースパークを訪れてみてはいかがですか。

 ▽アクセス 新千歳空港より車で15分(駐車場500台、無料)。空港から往復の無料シャトルバスも運行されている。営業時間は11月5日まで9時〜17時、同6日〜4月9日は10時〜16時。

 【取材後記】現役時代の闘争心あふれる姿とは、まるで対照的。放牧中のゴールデンシックスティは終始、穏やかな表情だった。のんびりと草を食(は)み、ボーッと遠くを見つめてあくびをしたかと思えば突然倒れ込んで砂浴びを始める。無邪気な“少年”を見ているようだった。

 園内で最も仲が良い馬はクオーターホース(乗馬や牧畜で用いられる)のジョン。98年生まれ、27歳の“大ベテラン”で頼もしいリーダー的存在だ。「凄く仲良し。2頭で顔をくっつけて草を食べたり、ジョンのお尻を追いかけたりしてますね」と田澤さん。“先輩”に甘える香港最強馬の姿に、記者もシャッターを押す手が止まらなかった。元競走馬の素顔が見られる瞬間はとても新鮮。皆さんも、ベストショットを狙ってみては。 (後藤 光志)
(C)スポーツニッポン