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日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は美浦取材班の高木翔平(35)が、異例の猛暑に見舞われた札幌から現場の声をお届けする。各陣営の取材を重ね、暑い札幌で狙えるタイプの馬も見えてきた。
21日、新千歳空港に降り立った瞬間に東京と変わらない暑さに驚いた。24日は北海道18地点で観測史上最高気温を記録。調教開始時刻を例年より30分早めた午前5時とした札幌競馬場だが、少し歩いただけで全身から汗が噴き出す。何度も出張で来ている自分もこんな経験は初めて。ある厩務員は「暑さに弱い馬を連れてきたのに、これだと(本州と)変わらない」と頭を抱えていた。
近年の急激な気温上昇により、北海道は一般住宅を含む多くの施設で暑さ対策が追い付いていない現状。エアコンの設置は学校や医療機関が優先されるため、厩舎地区の馬房にクーラーが設置されるのは2年後以降になる見込みだ。多くの陣営は冷風機を持ち込んだり、調教強度を軽くするなど工夫を凝らした調整を続けている。その中で西田雄一郎師は「滞在だし、数戦を戦ってもらうつもりで札幌まで連れてきている馬が多い。だけど、この暑さでは初戦から仕上げ切るのは難しくなるかもしれない」と話していた。開幕日の26日は新馬戦を除く11レース中7レースの勝ち馬が函館転戦組。調教で負荷をかけられない分、開幕序盤は直近のレースで仕上がった馬が狙い目かもしれない。
札幌の前に開催された函館はレコード連発の超高速馬場。武豊に話を聞くと「馬場が硬いというわけじゃなく、開催の終わり頃でも凄くいいクッションで馬が走りやすい馬場という感じだった」と教えてくれた。根付きがいい野芝も生えている本州の競馬場とは違い、函館、札幌は洋芝オンリー。それでも開催を通じて好状態をキープしたことについて、武豊は「やっぱりこの暑さが理由だと思う。函館より札幌の方が暑いね」と話していた。初日のTVh賞でコースレコードタイの1分7秒4が出た札幌芝コースだが、函館の傾向を踏まえれば、この後も速い時計が出続ける可能性がある。
ある調教師は「地方競馬は午前2時、3時から調教を行っている。馬はかつては夜行性の肉食獣から逃げなくちゃいけなかったわけで、そういう時間に運動をすること自体は大丈夫。中央もそういうことを考えなければいけないタイミングに来ているのかもしれない」と持論を明かす。昼休みの拡大、パドック周回時間の短縮、冷房施設の強化などで効果を出している暑熱対策。しかし、「北海道なら大丈夫」というフェーズは終わったのかもしれない。幸い、開催週の週末から天気がぐずつき、気温は落ち着いた札幌。どうか、このまま競馬をやりやすい気候が続いてほしい。
◇高木 翔平(たかき・しょうへい)1990年(平2)生まれ、広島県出身の35歳。15年入社で23年から東京本社予想を担当。BSイレブン出演中。
21日、新千歳空港に降り立った瞬間に東京と変わらない暑さに驚いた。24日は北海道18地点で観測史上最高気温を記録。調教開始時刻を例年より30分早めた午前5時とした札幌競馬場だが、少し歩いただけで全身から汗が噴き出す。何度も出張で来ている自分もこんな経験は初めて。ある厩務員は「暑さに弱い馬を連れてきたのに、これだと(本州と)変わらない」と頭を抱えていた。
近年の急激な気温上昇により、北海道は一般住宅を含む多くの施設で暑さ対策が追い付いていない現状。エアコンの設置は学校や医療機関が優先されるため、厩舎地区の馬房にクーラーが設置されるのは2年後以降になる見込みだ。多くの陣営は冷風機を持ち込んだり、調教強度を軽くするなど工夫を凝らした調整を続けている。その中で西田雄一郎師は「滞在だし、数戦を戦ってもらうつもりで札幌まで連れてきている馬が多い。だけど、この暑さでは初戦から仕上げ切るのは難しくなるかもしれない」と話していた。開幕日の26日は新馬戦を除く11レース中7レースの勝ち馬が函館転戦組。調教で負荷をかけられない分、開幕序盤は直近のレースで仕上がった馬が狙い目かもしれない。
札幌の前に開催された函館はレコード連発の超高速馬場。武豊に話を聞くと「馬場が硬いというわけじゃなく、開催の終わり頃でも凄くいいクッションで馬が走りやすい馬場という感じだった」と教えてくれた。根付きがいい野芝も生えている本州の競馬場とは違い、函館、札幌は洋芝オンリー。それでも開催を通じて好状態をキープしたことについて、武豊は「やっぱりこの暑さが理由だと思う。函館より札幌の方が暑いね」と話していた。初日のTVh賞でコースレコードタイの1分7秒4が出た札幌芝コースだが、函館の傾向を踏まえれば、この後も速い時計が出続ける可能性がある。
ある調教師は「地方競馬は午前2時、3時から調教を行っている。馬はかつては夜行性の肉食獣から逃げなくちゃいけなかったわけで、そういう時間に運動をすること自体は大丈夫。中央もそういうことを考えなければいけないタイミングに来ているのかもしれない」と持論を明かす。昼休みの拡大、パドック周回時間の短縮、冷房施設の強化などで効果を出している暑熱対策。しかし、「北海道なら大丈夫」というフェーズは終わったのかもしれない。幸い、開催週の週末から天気がぐずつき、気温は落ち着いた札幌。どうか、このまま競馬をやりやすい気候が続いてほしい。
◇高木 翔平(たかき・しょうへい)1990年(平2)生まれ、広島県出身の35歳。15年入社で23年から東京本社予想を担当。BSイレブン出演中。
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