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◇夏リポ
今夏の水曜企画「夏リポ」は記者がテーマを考え、関係者に質問をぶつけて深掘りする。第6回は大阪本社の栗林幸太郎(42)が担当。昨夏の新潟開催に続き、暑熱対策による「競走時間帯の拡大」が初の試みとなった中京競馬場で密着取材。競走馬や来場したファンに対しての対策をリポートする。
JRAでは13年ごろから本格的に暑熱対策を推進。これまでにミストや馬房へのエアコン設置、馬体冷却用のシャワーなど設備面の取り組みに注力してきた。装鞍所の集合時間、パドックの周回時間の短縮なども実施。そして対策の一環として昨夏、新潟開催の2週間(7月27日〜8月4日)で競走時間帯の拡大が導入された。特に気温が高い時間帯は競馬を休止、昼休みを拡大する形で約3時間のインターバルを設け、人馬ともに熱中症を予防している。
暑さ指数と呼ばれるWBGT値が28度を超えると、人間の熱中症発症率が上昇。競走馬総合研究所では馬も同様の傾向が見られると発表している。昨年導入した競走時間帯拡大の効果について、JRA職員は「WBGT値28度以上の時間帯が通常開催時と比較して、15%減少(通常58%→拡大した時間帯43%)しました」と話す。その結果も踏まえ、今年は新たに中京開催にも導入し、期間を8月17日までの4週間に延長した。
今年初の試みとなる中京競馬場では、さまざまな取り組みを行っている。レースに向けては地下馬道内に従来の気化式冷風機、ミスト付き扇風機に加え新たに35台の天井扇風機を設置し熱気の分散と通気性の向上を促進。パドックではトルネード式ミストファンを各所に設置し、厩舎地区内では日よけ付きの馬体冷却シャワーが設備されている。
JRA職員は「現場の競馬関係者からも、人馬の体力や体調面において効果を認める声が多く聞かれます。騎手からも後半レースは明らかに涼しい。途中で体が休められるのは快適といった声が届いてます」とポジティブな意見が寄せられているという。さらに「調教師や厩舎スタッフからはパドックの周回時間短縮で、人馬の負担軽減につながったと評価する意見があった」と現場の声を伝える。明らかに暑熱対策の効果は出ており、円滑な開催につながっている印象を受けた。
来場するファンに向けた暑熱対策も充実。記者も先週末、実際に体験してみた。西入場門から入ってすぐ「ミストで涼ませ隊」のお姉さんが笑顔で霧状の水を吹きかけてくれる。心も体も癒やされた。4角付近のサイレンススズカ広場では空調付きの休憩用テントを用意。収容人数が100人ほどの室内にはエアコン5台、大型扇風機2台、扇風機5台が完備され、涼しい風で出迎えてくれた。テントで休憩していた名古屋市在住で競馬歴30年の岡本芳明さん(52)は「冷風機が何台もあって想像以上に涼しく、心地よい空間ですね。キッチンカーも間近にあるからランチもできるし、ゆっくり涼みながら予想ができる」と笑みを浮かべる。
11時40分の中京5Rが終わると、レース再開の中京6Rは15時。長い昼休みの過ごし方は記者にとっても十人十色だった。仮眠を取る人もいれば、通常の時間帯で開催される札幌の馬券を買う人も。ちなみに記者は先週2日間ともに場内散策を含め、仕事に追われていた(笑い)。暑熱対策期間中は、競馬にまつわるクイズに答えてラムネ(飲料水)が抽選で当たる「中Q競馬場ナゾトキクエスト」などイベントも盛りだくさん。出張2週目の今週末はゆっくり満喫したいと思う。引き続き、人馬安全のもと、場内のお客さんも楽しめる夏競馬が開催されていくことを願いたい。
≪騎手は“お風呂&昼寝”≫騎手の“長い昼休み”の過ごし方もさまざま。先週、中京2日間で計13鞍に騎乗した小沢は「(休憩時間は)お風呂に入って寝ていましたね。(午前)3時に起きて調教に乗っているので、いい休憩になったし疲れが取れました」と振り返る。暑熱対策については「いろいろなことを試してもらってありがたいです。その中で馬がベストな状態で出走できることが一番」と気にかけていた。
≪暑熱開幕週の中京競馬 入場人員&売り上げともにアップ≫夏の中京開幕日だった26日の入場人員は1万212人。今年の暑熱対策期間(8月17日まで)は入場無料でもあり、8610人だった昨夏の開催初日(8月10日)から18.6%増。売り上げは70億4557万5100円で昨夏の開催初日から19.7%増となった。東海Sが行われた27日の売り上げは117億6735万5200円、開催2日目も昨年(メインは小倉記念)と比べて19.7%増と盛況。中京競馬場の山村差代場長は「従来とは異なるタイムスケジュールでの開催運営となりましたが皆さまのご理解とご協力のもと、まずは円滑に2日間を終えることができました。引き続き人馬の安全、ご来場されるお客さまや競馬開催に関わる方々の健康と安全を優先して開催してまいります」とコメントした。
今夏の水曜企画「夏リポ」は記者がテーマを考え、関係者に質問をぶつけて深掘りする。第6回は大阪本社の栗林幸太郎(42)が担当。昨夏の新潟開催に続き、暑熱対策による「競走時間帯の拡大」が初の試みとなった中京競馬場で密着取材。競走馬や来場したファンに対しての対策をリポートする。
JRAでは13年ごろから本格的に暑熱対策を推進。これまでにミストや馬房へのエアコン設置、馬体冷却用のシャワーなど設備面の取り組みに注力してきた。装鞍所の集合時間、パドックの周回時間の短縮なども実施。そして対策の一環として昨夏、新潟開催の2週間(7月27日〜8月4日)で競走時間帯の拡大が導入された。特に気温が高い時間帯は競馬を休止、昼休みを拡大する形で約3時間のインターバルを設け、人馬ともに熱中症を予防している。
暑さ指数と呼ばれるWBGT値が28度を超えると、人間の熱中症発症率が上昇。競走馬総合研究所では馬も同様の傾向が見られると発表している。昨年導入した競走時間帯拡大の効果について、JRA職員は「WBGT値28度以上の時間帯が通常開催時と比較して、15%減少(通常58%→拡大した時間帯43%)しました」と話す。その結果も踏まえ、今年は新たに中京開催にも導入し、期間を8月17日までの4週間に延長した。
今年初の試みとなる中京競馬場では、さまざまな取り組みを行っている。レースに向けては地下馬道内に従来の気化式冷風機、ミスト付き扇風機に加え新たに35台の天井扇風機を設置し熱気の分散と通気性の向上を促進。パドックではトルネード式ミストファンを各所に設置し、厩舎地区内では日よけ付きの馬体冷却シャワーが設備されている。
JRA職員は「現場の競馬関係者からも、人馬の体力や体調面において効果を認める声が多く聞かれます。騎手からも後半レースは明らかに涼しい。途中で体が休められるのは快適といった声が届いてます」とポジティブな意見が寄せられているという。さらに「調教師や厩舎スタッフからはパドックの周回時間短縮で、人馬の負担軽減につながったと評価する意見があった」と現場の声を伝える。明らかに暑熱対策の効果は出ており、円滑な開催につながっている印象を受けた。
来場するファンに向けた暑熱対策も充実。記者も先週末、実際に体験してみた。西入場門から入ってすぐ「ミストで涼ませ隊」のお姉さんが笑顔で霧状の水を吹きかけてくれる。心も体も癒やされた。4角付近のサイレンススズカ広場では空調付きの休憩用テントを用意。収容人数が100人ほどの室内にはエアコン5台、大型扇風機2台、扇風機5台が完備され、涼しい風で出迎えてくれた。テントで休憩していた名古屋市在住で競馬歴30年の岡本芳明さん(52)は「冷風機が何台もあって想像以上に涼しく、心地よい空間ですね。キッチンカーも間近にあるからランチもできるし、ゆっくり涼みながら予想ができる」と笑みを浮かべる。
11時40分の中京5Rが終わると、レース再開の中京6Rは15時。長い昼休みの過ごし方は記者にとっても十人十色だった。仮眠を取る人もいれば、通常の時間帯で開催される札幌の馬券を買う人も。ちなみに記者は先週2日間ともに場内散策を含め、仕事に追われていた(笑い)。暑熱対策期間中は、競馬にまつわるクイズに答えてラムネ(飲料水)が抽選で当たる「中Q競馬場ナゾトキクエスト」などイベントも盛りだくさん。出張2週目の今週末はゆっくり満喫したいと思う。引き続き、人馬安全のもと、場内のお客さんも楽しめる夏競馬が開催されていくことを願いたい。
≪騎手は“お風呂&昼寝”≫騎手の“長い昼休み”の過ごし方もさまざま。先週、中京2日間で計13鞍に騎乗した小沢は「(休憩時間は)お風呂に入って寝ていましたね。(午前)3時に起きて調教に乗っているので、いい休憩になったし疲れが取れました」と振り返る。暑熱対策については「いろいろなことを試してもらってありがたいです。その中で馬がベストな状態で出走できることが一番」と気にかけていた。
≪暑熱開幕週の中京競馬 入場人員&売り上げともにアップ≫夏の中京開幕日だった26日の入場人員は1万212人。今年の暑熱対策期間(8月17日まで)は入場無料でもあり、8610人だった昨夏の開催初日(8月10日)から18.6%増。売り上げは70億4557万5100円で昨夏の開催初日から19.7%増となった。東海Sが行われた27日の売り上げは117億6735万5200円、開催2日目も昨年(メインは小倉記念)と比べて19.7%増と盛況。中京競馬場の山村差代場長は「従来とは異なるタイムスケジュールでの開催運営となりましたが皆さまのご理解とご協力のもと、まずは円滑に2日間を終えることができました。引き続き人馬の安全、ご来場されるお客さまや競馬開催に関わる方々の健康と安全を優先して開催してまいります」とコメントした。
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