夏を制する馬はクラシックを制す。注目の2歳馬を紹介する「Road　to　2026」。酷暑対策として競走時間帯を変更して開催する新潟＆中京サマーシリーズ（26日〜8月17日）開幕週の目玉はペルウィクトール（牡＝宮田）だ。27日の新潟3R新馬（芝1600メートル）にルメール騎乗で出走予定。大物感あふれるボディーと雄大なストライドは父サートゥルナーリアの再来を思わせる。

　夏を制する者は受験を制すという。予備校の夏期講習で何度も聞かされたキャッチフレーズ。「この夏の過ごし方が来春の合否を左右するんだ」。担当教官にハッパを掛けられて机にかじりついた昔日の記憶がペルウィクトールの1週前追い切り（17日）でよみがえった。美浦Wコースの直線。3馬身先行した僚馬ゾロアストロ（新馬2着）と馬体を併せると、ハッパを掛けるように鞍上が手綱をしごく。併入ゴールに宮田師は「いつもの調教では併走相手をあおる勢いですが、今回は調教駆けするパートナー。最後に少し気合を付けました。いい動きでしたね」と口火を切った。

　ダービーの翌週から2歳戦の火ぶたが切られるクラシックロード。夏の新馬は翌春のクラシックの登竜門だ。別表の通り、宮田厩舎もこの夏に6頭の有力2歳馬をデビューさせる予定。中でも飛び抜けた素質を示すのが、ラテン語で「完勝」と命名されたサートゥルナーリア産駒だ。父とほぼ同じ約500キロの馬体には父譲りの部位が備わっている。搭載エンジンの大きさを示すような分厚いトモと深い胸。中距離適性を示す伸びやかな胴周り。馬場に入ると、雄大なフットワークで加速していく。「関節の可動域が広いので体を大きく使えます。凄い馬だなって思わせる動きです」と素質を絶賛する宮田師。「ストライドが大きいので新潟の外回りはぴったりでしょう。マイル戦でデビューしますが、中距離まで十分に持ちます」。

　3月に入厩。ゲート試験に合格した後、ノーザンファーム天栄（福島県）に再放牧に出されて成長を促してきた。「気持ちが高ぶりやすい馬ですが、放牧を経て随分落ち着きが出てきた。3月の入厩当時には470キロまで減ってしまったため春の東京デビューを自重しましたが、今ではすっかり回復しています」（同師）。

　酷暑対策として気温が最も高くなる時間帯（正午から午後3時ごろ）を中休みにする4週間の新潟＆中京サマーシリーズ。その開幕週に初陣を迎えるとあって厩舎の酷暑対策にも抜かりはない。発汗によって失われる体内の塩分を補充するためカイバには電解質（カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウムなど）のペーストサプリメント。厩舎棟には大型＆小型の冷風扇がフル回転…。真夏に塩をなめながら扇風機の前で入試問題集にラインマーカーを走らせた昔日の記憶がよみがえった。夏を制する馬はクラシックを制す。　　（梅崎　晴光）