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【オークス】エンブロイダリー2冠へ万全 9戦4勝ルメール 桜花賞馬とのタッグならV率100%

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ルメールを背に3頭併せで追い切るエンブロイダリー(右、撮影・村上 大輔)
 牝馬クラシック第2弾「第86回オークス」の最終追い切りが21日、東西トレセンで行われた。美浦では2冠制覇を狙う桜花賞馬エンブロイダリーが抜群の身のこなしを披露。万全の状態をアピールした。再コンビ結成のクリストフ・ルメール(46)は先週のヴィクトリアマイルをアスコリピチェーノで優勝。オークスも9戦4勝と抜群の相性を誇る。特に桜花賞馬騎乗時は2戦2勝と優勝確率100%だ。同レースは22日、出走馬と枠順が確定する。

 エンブロイダリーの最終追い切りを終えたルメールからみなぎる自信。勝てばオークス歴代最多タイの5勝となる名手は、この一戦で求められる資質を完全に理解している。

 「オークスではスタミナはあまり問題ではないですね。3歳牝馬の中で一番強い馬に乗れば勝つのは簡単。今年は大きなチャンスがあります」

 最終リハは桜花賞と同じく坂路。前に目標を置き、後ろからプレッシャーをかけられる3頭併せの真ん中だ。身体面は1週前で仕上がっていただけに、フットワークは実にパワフル。それでいて気負う様子もない。森一師は「足りなければ仕掛けて」と指示を与えたが、鞍上の手綱は抑えられたまま。納得の馬なりフィニッシュで内ベストセラー(3歳未勝利)に半馬身、外サフランヒーロー(4歳2勝クラス)に1馬身先着した。4F(800メートル)52秒2〜1F(200メートル)12秒1の好時計もマーク。ルメールは「大きな牝馬だから跳びが大きいね。ハミをよく取っていたけど一生懸命過ぎることはない。よく動けていたし、完璧な追い切り」と胸を張った。

 父は国内外のマイルG1を3勝したアドマイヤマーズ。2400メートルへの距離延長を不安視する声もあるが、牝馬を知り尽くす名手は馬の絶対能力が重要と説く。「みんな初めての距離ですから。阪神JFか桜花賞を勝った馬なら大丈夫」。自身がオークス制覇に導いた4頭中3頭(17年ソウルスターリング、18年アーモンドアイ、22年スターズオンアース)は阪神JFか桜花賞を優勝。当時もささやかれた距離不安を一蹴した。指揮官も「いくつか選択肢がある中、私の方から(オーナーサイドに)“次はオークスにしませんか”と提案した。現時点の能力と完成度で(距離は)こなしてくれると思う」と力強かった。

 今年はドバイ、サウジアラビア、香港、オーストラリアなど海外の騎乗が多かったルメール。25年のG1初勝利は先週のヴィクトリアマイルだった。「ちょっと出遅れましたね(笑い)。でも、日本競馬のリズムが戻ってきた。自分の自信も上がってきた」と不敵に笑う。シンプルに強い馬が勝つオークス。“世代で最も強い馬”を確保した名手は2冠達成を信じて疑わない。

 ○…ルメールは先週のヴィクトリアマイルをアスコリピチェーノで制し、牝馬限定G1通算18勝を達成。これはグレード制が導入された84年以降、17勝で並んでいた武豊を抜いて最多勝利記録更新となった。特にオークスでは無類の強さを誇り9戦4勝、2着2回で連対率66.7%。21年アカイトリノムスメから4年連続で連対を果たしている。

【森一誠師と一問一答】

 ――桜花賞を振り返って。

 「当日は雨が降って重い馬場という悪条件の中、中団でしっかり折り合い、しまいも脚を使ってくれた。凄く強い内容でした」

 ――馬の成長を感じる点は?

 「2歳時はゲート内で気持ちが高ぶるところがあったけど、年齢、レースを重ねるごとに精神面の成長を感じます」

 ――1週前追い切りは?

 「しっかり負荷をかけたかったので、併せ馬で時計を出してラストは強めに。しまいもしっかり反応していい内容だった。桜花賞と同じくらいの状態で出走できると思います」

 ――馬場について。

 「今の東京は多少雨が降っても、比較的速い時計になる凄くいい馬場。極端に悪くならなければ、能力を発揮できると思う」
(C)スポーツニッポン