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【ヴィクトリアM】ナミュール 海外帰りも疲れなし 高野師「康太君がここまで押し上げた。さらに高みへ」

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坂路を単走で追い切るナミュール
 主役は譲らない。春の古馬女王決定戦「第19回ヴィクトリアマイル」の追い切りが8日、東西トレセンで行われた。昨秋のマイル女王ナミュールは栗東坂路単走でバネの利いた走りを披露。香港マイル3着、ドバイターフ2着と海外遠征帰りだが驚異の回復力で全く疲れを感じさせない。武豊との新コンビで国内マイルG1連勝を狙う。同レースは9日に出走馬が確定、枠順は10日に発表される。

 海外遠征明けの不安を一掃した。昨秋のマイル女王ナミュールは坂路2本目に単走追い。序盤は体全体を使い、リズム重視でゆったり入る。筋骨隆々で見栄えする好馬体。弾むようなフットワークで駆け上がり、稽古をつけた厩舎スタッフがゴール前で軽く促すとひと伸び。4F(800メートル)54秒0〜1F12秒0を刻んだ。高野師は「バランス良く、リズム良く行かせて少しためる時間をつくった。最後、少し短い時間を加速させるイメージ。提示した時計より気持ち速くなったけど全然問題ない。追い切り後の表情、歩様が非常に良かった。ここまでは万全だし、間違いなく力を出せる状態です」と納得の表情だ。

 紅一点で挑んだ昨秋のマイルCSは騎乗予定だったムーアの落馬負傷により、急きょ藤岡康太さんが代打騎乗。腹をくくって後方から末勝負に徹した。直線は鞍上が鼓舞すると、馬場の真ん中から上がり3Fメンバー最速の脚でごぼう抜き。G1初制覇を飾った。殊勲の手綱となった藤岡さんは先月6日の落馬事故で死去。「藤岡康太君が凄い仕事をしてくれた。G1勝利はやろうと思って、できるものではない。それを成し遂げてくれた。しかも代打騎乗ですから。彼がここまで押し上げてくれた事実は変わらない。さらに高みへ持っていきたい思いがある」と熱い思いを口にした。

 前々走の香港マイルは3着とし、前走ドバイターフではフランス馬ファクトゥールシュヴァルとの激しい叩き合いの末、惜しくも短頭差2着。異国の地でビッグタイトル獲得はならなかったが日本馬最先着と世界でも通用する走りを見せた。「前走の結果は悔しかったけど、パフォーマンスに関しては満足している。メンタル、フィジカルと全てのレベルが上がってきた」と成長ぶりを伝えた。

 帰国後は検疫を経て栗東近郊のノーザンファームしがらきで調整を進め、2日にトレセン帰厩。JRAのルール上、最短の10日競馬(入厩後9日間は出走できない)でG1へ。高野師は「(前走の)レース前から(ヴィクトリアマイル参戦は)計画の一つとしてあり、ノーザンファームしがらきに到着した時の姿や形が香港から帰ってきた時より良かった。その後の経過を見て、いけると判断した」と説明する。

 JRA通算4500勝まで、あと2勝としているレジェンド武豊と新コンビ結成。帰国初戦で全開ムードが漂っている。
(C)スポーツニッポン